多くの人が訪れ、にぎわう2025年大阪・関西万博のボランティア説明会の会場=22日午後、大阪市北区(彦野公太朗撮影)

2025年大阪・関西万博のボランティア募集が好調だ。日本国際博覧会協会(万博協会)と大阪府・大阪市は今年1月から募集を開始したが今月末の締め切りを前に、2万2799人(19日時点)の応募があり、目標の2万人を超えた。会場建設費や運営費の増額もあり万博の開催に風当たりが強い中、なぜボランティアは人気なのか。

22日午後、グランフロント大阪(大阪市北区)で行われたボランティア説明会には幅広い年代の243人が集まり、活動内容を紹介するチラシを熱心に読み込んでいた。

大阪市北区の主婦、石井奈津子さん(30)は「生きている間に日本で万博が開かれるのは最後かもしれない。いいチャンスだと思った」と意気込んだ。

協会によると、ボランティアの応募は関西を中心に全国から寄せられ、とりわけ学生や20代、50~60代が目立つという。応募が好調な理由について、万博協会の幹部は「一生に一度の機会。せっかくだから関わってみようと思っていただけたのでは」と分析する。

募集しているのは会場内での案内や誘導にあたる「会場ボランティア」と、主要駅などで交通や観光情報の発信を行う「大阪まちボランティア」の計2万人。会期中の来年4月13日~10月13日に5日間以上、1日3~6時間程度活動できることが応募の条件で、比較的短い期間でも気軽に万博に参画できることが奏功したようだ。

一方で、2020年東京五輪(開催は2021年)や2005年の愛知万博ではボランティアと有償スタッフの活動内容がそれほど変わらないにもかかわらず、待遇面に差があったことから「やりがい搾取」などと批判の声が上がった。

今回も万博会場で働くスタッフ「EXPOサービスクルー」には時給が支払われるのに対して、ボランティアに支給されるのは交通費や食費用のプリペイドカード(1日2千円相当)にとどまる。

東京五輪などでの「やりがい搾取」批判を念頭に、万博協会の担当者は「ボランティアとクルーの業務内容には明確な線引きがある」と強調。ボランティアはあくまでもクルーの補助役で「サービスの水準をさらに向上させる存在」との位置付けだといい、会場内外で来場者の案内や施設の運営補助などを行うとしている。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。