全国の公立小中高校のインターネット通信環境について、規模に見合った通信速度を確保できていない学校が8割近くに上ることが24日、文部科学省の調査で分かった。児童生徒数が多い学校ほど通信環境が脆弱(ぜいじゃく)な傾向にあることも判明。授業のデジタル化が加速する中、学習活動に支障が出る可能性もあるため、同省は学校側に改善を求めた。

昨年11~12月に全公立小中高校(3万2千校)と都道府県・市町村教育委員会を対象に実施した。文科省は今回初めて、全ての授業で多数の児童生徒が同時に端末を利用しても通信に支障が生じない通信速度の目安を、学校の規模ごとに設定。児童生徒630人程度の場合、553Mbpsとなっている。

環境が整備されていたのは21・6%。児童生徒数60人未満(3985校)では3258校が環境を満たしていたのに対し、841人以上(1382校)では29校にとどまり、子供の数が増えるほど環境が不十分になる状況が明らかになった。

大規模校では十分な予算を確保できず、必要な通信契約を結べていない可能性があるとみられる。教委の枠を超えた広域での発注で調達価格を抑えるほか、学校側の担当者の専門性を高めて通信事業者との交渉に臨むなどの対策をガイドブックにまとめて提示する。

通信環境が脆弱であれば、タブレット端末で動画を視聴しにくくなるなど学習に支障が出る恐れがある。今後、デジタル教科書の活用や全国学力テストのオンライン化といった情報化がさらに加速する見通しで、安定的な通信環境の整備は喫緊の課題となっている。

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