観光客でにぎわう錦市場=25日、京都市中京区

400年以上の歴史があり「京の台所」として知られる錦市場(京都市中京区)の商店街振興組合は、世界各地の歴史ある市場と連携し、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産への登録を目指すことを決めた。地域の食文化の発信や継承を目的としている。

今月上旬、イタリア・フィレンツェにある市場が、屋根のある錦市場やスペイン・バルセロナの市場などに呼びかけ、13市場での協会設立に向けた準備会合を開いた。京都錦市場商店街振興組合は23日に会合を開き、協会への参加を決めた。同組合によると、アジアからの参加表明は錦市場のみという。

同組合の担当者は「(無形文化遺産登録は)容易ではないが、ユネスコと協力しながらスムーズに進めていきたい」とした。

錦市場を巡っては、過度な観光客の集中や食べ歩きといったオーバーツーリズム(観光公害)に伴う諸課題が指摘されている。これについて同組合の担当者は「無形文化遺産への登録で利用客らの意識が高くなり、マナー向上などにつながるのでは」との見方を示した。海外の著名な市場とも連携を深め、対策を強化したいとした。

錦市場で昆布などを販売する「京こんぶ千波」の井上栄司代表は「食べ歩きをする場所としてではなく、歴史ある文化としての市場を楽しんでもらえるきっかけになるのでは」と期待。古くから続く鮮魚店「津乃利」を営む藤田仁さんは「今でも市場は人が密集して限界の状態。さらに多くの人が来るなら、混雑緩和などへの対策は不可欠だ」と求めた。

観光客はどう思うのか。福井市から旅行に来ていた僧侶、朝倉善佑さん(37)は「(登録を目指すことで)世界からの注目が集まって観光客が増えると思う。マナーの悪化はあると思うので対策をしてほしい」と話した。

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