トコジラミの成虫は体長5~8ミリ
写真一覧

 昨年、韓国やフランスで大量発生した害虫「トコジラミ」は、日本でも被害がじわりと広がっている。海外旅行やレジャーで移動が増えるゴールデンウイークは、さらなる流行が心配される。刺されると激しいかゆみに襲われる厄介な虫を家に持ち込まないためには、どうすればいいのか――。専門家に尋ねた。

 トコジラミはカメムシの仲間で、「南京虫(なんきんむし)」とも呼ばれる。乳白色の幼虫は体長1~4ミリ程度、赤褐色の成虫は5~8ミリ程度。人の首や腕など肌の露出部分を刺して吸血し、刺されるとかゆみや腫れが生じる。強力な殺虫剤の普及により1970年代までにほぼ姿を消していたが、米国などで2000年代に増え始め、日本でも近年、被害や目撃例が相次いでいる。

 東京都が集計しているトコジラミの相談件数は、19年度が458件で、新型コロナウイルスの感染が拡大した20年度は320件、21年度は281件に減ったが、22年度は405件に増えた。都の担当者は「コロナ禍の時はトコジラミを気にする人はそこまでいなかったが、海外でトコジラミが流行し『トコジラミはどんな虫なのか』『国内でも増えているのではないか』と心配になる人が増え、相談件数が増加したのでは。関心の高まりを感じている」と指摘する。

 駆除剤を販売するアース製薬(東京都)に寄せられたトコジラミに関する相談件数も、22年は313件だったが、23年は3倍以上の975件に増加した。海外旅行先での対策方法や、家の中での予防方法についての相談が多いという。

トコジラミを旅行先から持ち込まないための注意点
写真一覧

 どのような対策が有効なのか。同社の担当者はまず、トコジラミの忌避効果がある薬剤(商品名「サラテクト」)を手足に塗ることを勧める。そして、ホテルなどの宿泊先に到着したら、スーツケース、かばんといった荷物は一旦浴室に置いてから、部屋の中にトコジラミが潜んでいないかをチェックすべきだという。

 トコジラミは「かくれんぼ」が得意。ベッド、マットレス、シーツの裏側▽クッションとソファの隙間(すきま)▽壁に掛かっている絵画の裏側▽カーテンレール――などにトコジラミがいないかどうかを確認したほうがいいようだ。

 直径約2ミリの茶色や黒色のシミが寝具などにある場合は、トコジラミの血糞(けっぷん)の疑いがあり、室内に潜んでいる可能性が高い。「トコジラミは明るい場所が苦手。就寝時に電気をつけっぱなしにすると刺されにくいため、アイマスクをして寝るのも対策の一つです」

アース製薬がX(ツイッター)で公開しているトコジラミ対策の動画=同社のXアカウントより
写真一覧

 帰宅後は荷物を部屋に広げて、トコジラミ駆除の効果がある薬剤(商品名「ゼロノナイトG」)でくん煙をすると、より効果的だという。

 同社がX(ツイッター)で公開している動画「アース製薬が教えるトコジラミ対策3選 旅行編」の表示回数は24日時点で166万回と反響が大きいという。担当者は「トコジラミは繁殖力が強く、家に持ち帰ってしまうと駆除が大変。外から持ち込まないように、家に帰ってきたらカバンや衣類に付着していないかを確認し、できれば着て帰った衣服はすぐに熱湯に入れるか洗濯し乾燥機にかけてほしい」とアドバイスする。【坂根真理】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。