新曲発売記念パーティーで、元気いっぱいのステージを披露した =令和4年

《今年2月下旬、1千人超を集めた「ファンミーティング」を都内で催した。舞台袖からではなく、会場の後部から突如現れ、ファンの傍らをマイクを持ったまま練り歩く。奇抜な演出が度肝を抜いた》


コンサートやディナーショーと違って、ファンクラブ会員限定の集まりなんです。7曲ほど歌いました。和気藹々(あいあい)とした、肩の力を抜いたものです。舞台のセットもフル装備ではなく、ゆったりとした空気が流れる。今年が23年目。1回目から〝皆勤賞〟の方も1割ほどいましたね。

僕がファンに直接、「どこから来たの?」とか、「何を歌ってほしい?」などと聞いたから、とても喜んでくれました。


《昔も今も、ファンの中心はやはり女性…》


ファンクラブの会員が今、右肩上がりで増加していて、うれしい限りです。スタッフとよく「何でかな?」と話すんです。

人にはいろいろな人生があり、ファンだって、僕から離れる時間もあるし、恋愛もする。結婚し、子供も生まれ、家庭も持つ。どうもこの4、5年で子供たちから手がようやく離れ、時間や経済力も含め、自分の生活をコントロールできるようになっているようなんです。俗にいう〝推しの生活〟ですね。

青春時代に好きで、追っかけもしたトシちゃんが今もコンサートをしている。「じゃ、行ってみよう」ということらしい。

ファンミーティングには、20歳前後の子もいた。マイクを直接向け、「どうしたの、何しに来たの? 僕は(若者に人気のグループの)King&Princeじゃないよ」と冗談も言いました。ちなみに母親と一緒に来ていて、〝ビフォー・アフター〟を見ることができた(笑)。娘さんがかわいいから「じゃ、お母さんも若いとき、かわいかっただろう」って。


《コンサートやディナーショーには現在、男性の姿が増えているという》

昔は、ファンの中で女性と男性の割合が「100対0」という感じでした。圧倒的。男たちからは敵対視もされた。自分の好きな松田聖子ちゃんや、中森明菜ちゃんとイチャイチャし、「なんだアイツ」って。

しかし年齢を重ね、「あ、今なら、トシちゃんを応援してもいい」となったんじゃないですか。だから、コンサートにも自然と足が向く。

だって、10代、20代のころの僕のコンサートに、男性が足を踏み入れることなんてできなかったですよ。99・9%は女性。男の子は2、3人はいたでしょうけど。今は大手を振ってやってくる。

ま、僕も長いこと現役でやっているからこそ見える景色ではないか、と。年配のカップルの方も来やすくなったんでしょう。時間と余裕がある大人になり、「行ってみたいな。見てみたいな」とね。

僕が筋を通していることも、評価してくれる要因かもしれません。自分たちが中高生のときに見たチャラい、真っ赤な服を着た田原俊彦が、45年後もこれだけ歌って踊っている、と。彼らに押し付けるものでもないし、感じてくれればいいんです。

僕も決して〝左うちわ〟で生きているわけではないし、これしかできないので、それを見せるしかない。彼らにすれば、それがうれしいんじゃないですか。

青春時代の脳に与えたインパクトそのままに、僕は山口百恵さんや沢田研二さんの歌をカラオケで歌詞を見なくても歌えるし、自分の歌も、同じキー、同じ踊りでステージングできる。それで「アッ」と思うのではないか。うちのファンはそうみたいですよ。

「トシちゃん、まだコンサートやってんのは駄目っしょ。でも、行くとあのショーをやってくれるから、リピートしたくなる」という人は多いようです。

ちなみに、コンサートやディナーショーに来る男性は今、3割ぐらいかな。少し、暑くるしいですけどね(笑)。(聞き手 黒沢潤)

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