(写真はイメージです) Leigh Prather-shutterstock
<何から書き始めたらいいのか、どのように構成すればいいのか、迷わず作文できる「オレオ公式」について紹介する>
いよいよ受験勉強の追い込みに入る年末が近づいている。一朝一夕では成果の出ない作文や小論文の科目に苦戦している人も多いのではないだろうか。効率よく得点を上げたい今だからこそ、意識して実践するだけで一気に作文力が底上げされるスキルについてご紹介したい。
要点はシンプルだが、ハーバード大学でも150年に渡って教え続けられている、ロジカルな文章作成に欠かせない考え方である。受験のみならず、社会人になっても一生使える、簡潔に読み手に伝わる文章が迷わずにスラスラ書けるようになる技術を、この機会に身につけて欲しい。
今回は韓国でロングセラーとなり、日本でも発売わずか2ヶ月で4刷の重版を重ねている『作文宿題が30分で書ける! 秘密のハーバード作文』(CCCメディアハウス)から、ライティング・コーチのソン・スッキ氏の解説を抜粋して紹介する。
◇ ◇ ◇たった4行で考えをまとめるスキル
アメリカの大手新聞『ニューヨーク・タイムズ』などで活躍するジャーナリストのダニエル・コイルさんは、超一流の人たちがどうやって才能をみがいてきたのかが気になっていました。そして、世界中のスポーツチーム、音楽学校、一流進学校などを取材した結果、こんな結論にたどり着いたのです。
「才能とは、生まれつきのものだけではなく、練習でみがかれるものである」
ダニエル・コイルさんがたどり着いた超一流の人たちの才能開発のひみつは、その才能を開花させるために一番重要なスキル(能力)を、まずはとことんみがくということでした。そのスキルを最大値で発揮できるようになるまで、小さなことから毎日少しずつ地道に練習を重ねるのです。
たとえば、テニス選手なら、まずは「サーブのトス」を、バスケットボールの選手なら「レイアップシュート」だけを、目を閉じていてもできるくらいに練習しなさいということです。
ダニエル・コイルさんが言うように、超一流レベルの作文力を開花させるために、作文の一番重要なスキルが何かを考えました。文章を上手に書く人たちは、「言いたいことをロジカルに組み立てること」にずば抜けたスキルを発揮します。作文の場合は、「ロジカルな構成(組み立て)」がカンペキにできるように練習することが必要なのです。
いつでもどこでも、どんな時も、書きたいことをロジカルに構成できるようになりましょう。そのためにはどんな練習が必要だと思いますか?
作文の一番重要なスキル「オレオ」
文章を書くために一番重要なスキルは、自分の考えをつじつまが合うようにロジカルに構成することです。「オレオ公式」は、このスキルを練習し、練習の効果を最大限に発揮するために考え出された方法です。
オレオ公式による作文は、公式を使って書く内容をまとめて、文章に整えていく書き方で、「意見を主張する」→「理由を出す」→「具体例を出す」→「意見を強調する」という4つの項目から成り立っています。
実はこの方法は、アメリカの名門、ハーバード大学で150年前から学生たちに教えられてきた作文のテクニックで、アマゾンやグーグル、トヨタ、マッキンゼーなどの世界的企業や一流大学でも、コミュニケーションのツールとして導入されている方法なのです。
みなさんがこの本で学ぶべきことは、「テーマを決め、オレオ公式どおりに流れを作り、1段落で終わる短いエッセイ(自分の意見や考えを述べる文章)を完成させる」ということです。
時間は毎日10分だけです。毎日たったの10分間、この練習を続けるだけで頭脳を鍛えることができ、国語の勉強だけでなくほかの教科も成績がよくなるのです。
考えを当てはめただけで文章ができた?
アメリカやヨーロッパの教育熱心な国では、楽しく無理なく思考力を鍛えるために幼稚園や小学校のうちからさまざまな教育を行っています。そんな中、アメリカの専門家が、小学生のうちからロジカルに考えて、読む人を納得させる文章が書けるようにと、オレオ(OREO)という名前のついた公式を作り出しました。
オレオ?そうです、白いクリームを黒いビスケットでサンドした甘いクッキーと同じ名前ですね。
おいしくて楽しい、作文ツール「オレオ公式」
ロジカルに考え、文章で表現することを助けてくれるオレオ公式は、下のイラストのように図にすると覚えやすいです。
ところでなぜオレオというのでしょう? それは、この公式の4項目、「意見を主張する」(Opinion)→「理由を示す」(Reason)→「具体例を出す」(Example)→「意見を強調する」(Opinion)を英語で表したときの頭文字をつないだものが「オレオ(OREO)」になるからです。
オレオ型の4行公式
O︰意見を主張する
R:理由を示す
E:具体例を出す
O:意見を強調する
作文を書くときに、何も考えずいきなり書き始めるのではなく、まずは「OREO」の4項目ですじ道を立てて構成を整理してみましょう。
次に、4つのそれぞれの内容をくわしく整えます。具体的な内容で肉付けをしていくイメージで書き進めていくと......? ほらね! すじの通ったロジカルな作文が完成しました。
オレオ公式を用いて書く内容を決めて、それに沿って文章を書いていくだけです。大事な部分が抜け落ちたり、同じことをくり返し書いてしまうこともありません。今まで作文が書けないと悩んでいたのがうそみたいでしょう?
いつでもどこでも「自動作文ツール」
オレオ公式には、ハーバード大学が学生たちに4年間教え続けるロジカル・ライティング(ロジカルに書くこと)の秘密がそっくり詰め込まれています。みなさんは、この公式の順番と構造を覚えて、使いこなせるようになればオーケーです。作文を書くことになったら、まず、オレオクッキーを思い出せば上手に書けるでしょう。
『作文宿題が30分で書ける! 秘密のハーバード作文』
ソン・スッキ[著] 岡崎暢子[訳]
CCCメディアハウス[刊]
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ソン・スッキ
1965年生まれ。大韓民国を代表するライティング・コーチ。ソン・スッキ作文センター、アイデアウイルス代表。稼げるライティングソリューションを提供し、企業と個人のマーケティングコンサルティングを担う。慶熙大学にて国語国文を専攻し、卒業後は、放送局、広告代理店、新聞社、雑誌社、女性向けポータルサイト、出版社などで経験を積む。執筆活動歴35年、ライティング指導歴20年。『150年ハーバード式ライティングの秘密』は韓国で10万部のロングセラー。
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