幻想的な光が師走の群馬、栃木、茨城を包む――。今年も北関東3県の各地でイルミネーションやライトアップが始まった。電飾をふんだんに使った豪華なモニュメント、自然を生かした「わび・さび」のある風景など、施設ごとに特色ある演出が来場者の目を楽しませる。電気代の高騰に悩みつつも、客足の減る冬季の集客へ趣向を凝らし美を競う。
前橋市で2023年に開業した道の駅「まえばし赤城」は、昨年に続き施設や広場の木々を光で彩るイルミネーションを開催中。今年新設した約10メートルのツリーとハートなどのモニュメントが目玉だ。約20万球の電飾は昨年から3万球増やし、写真映えも狙う。星野圭佑駅長は「冬は来場者が減る傾向にある。イベントも同時開催して何度も来てもらえるようにしたい」と意気込む。25年2月28日まで。
総延長2キロメートルにも及ぶ群馬県高崎市の冬の風物詩「高崎光のページェント2024」は高崎駅西口周辺で25年3月2日まで実施する。商業施設「高崎オーパ」前のペデストリアンデッキ(空中歩道)にそびえる6メートルのツリーの装飾を今年から流れるような光の演出にし、例年より一段と光り輝く。駅前を南北に走る道路にも流れるような光のチューブを張り、自然と街中を回遊したくなる工夫を施す。
道の駅「ららん藤岡」(同県藤岡市)は同市が今年で市制70周年を迎えた記念として、花と光のコラボレーションをテーマに据えた。色とりどりのパンジーが光と組み合わさり、華やかさを増す。25年1月31日まで。草津温泉(同県草津町)では同年2月24日まで、湯畑周辺の広場に高さ約13メートルのもみの木に約3万球の電飾を彩ったツリーが登場している。
このほか、群馬県内では渋川市の「しぶかわイルミネーションin愛宕山ふるさと公園」で約100万球が12月7日〜25日に点灯。高崎市では「榛名湖イルミネーションフェスタ2024」で約20万球が12月13日〜25日に光輝く予定だ。
栃木県や茨城県でも冬季のイルミネーションが始まった。あしかがフラワーパーク(栃木県足利市)は、10ヘクタールの園内を500万球以上の電球で装飾する「Flower Fantasy 〜光の花の庭〜」を2月中旬まで開催。藤の花を色とりどりの電球で再現したイルミネーションをはじめ、プロジェクションマッピングも駆使して日本の四季を表現するなど充実した内容で全国的にも人気が高い。
「花木を専門とする自社スタッフで企画や設計、施工するのが当園の特徴」(担当者)といい、毎年コンテンツの改良を重ねる。今年はスノーマンやサンタクロースなど冬をテーマにしたエリアを刷新し、高さ25メートルのイルミネーションタワーや光の壁画の演出に磨きをかけた。消費電力の少ないLED電飾の導入も進めている。
日本の原風景を生かしたイベントもある。デジタルアート集団のチームラボ(東京・千代田)は、森に囲まれた棚田跡にランプを浮かべ、周辺の木々をライトアップする「チームラボ 幽谷隠田跡(ゆうこくおんでんあと)」の常設展示を9月末から茨城県北茨城市で始めた。
同施設は創輝(同市)の運営する食事付きのコテージやグランピング場を併設し、宿泊者は源泉掛け流しの外湯につかりながらアートを楽しむこともできる。外湯は男女共用で利用の際は水着着用。スマートフォンを持ち込んでの撮影も可能だ。
宇都宮市では観光竹林の「若竹の杜(もり) 若山農場」が、美しく整備された夜の竹林を音楽とともに色とりどりの光で照らす冬季恒例の「Bamboo Winter Lights」を11月30日〜25年3月2日の週末・祝日に実施する。
同農場は今年、電気自動車(EV)から給電することで電源のないエリアもライトアップできるようにした。施設を運営するワカヤマファーム(同市)の若山太郎社長は「施設の一般公開から10周年となる27年に向け、目玉となるような新しいしかけを取り入れていきたい」と話している。
(田原悠太郎、加藤敦志)
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