「動物虐待」との批判を受けて土壁を撤去し、坂も緩やかにするなど改善された「上げ馬神事」は5日、三重県桑名市の多度大社で行われ、人や馬にもけがなく無事に終わった。6頭が駆け上がった4日に続き、本祭にあたる5日は花笠(はながさ)をかぶるなど前日とは違った姿の騎手たちが乗った3頭の馬が無難に坂を上り、観客からは歓声や拍手が起こった。
多度大社と氏子でつくる御厨(みくりや)総代会の伊藤善千代会長(75)は2日間の祭事を振り返り、「ほぼ満足している。こういう感じで行えれば今後も続けていけるのでは」と受け止めた。一方で、「走る時に鞭(むち)を使ってしまうケースも見受けられ、その点は改善しないといけない。(鞭を)持たない方向で徹底した方がいい」と述べた。
騎手らを指導した北勢ライディングファームの中村勇代表(60)も「気合が入り、鞭を打ってスピードを出し過ぎていた部分もあった」と指摘し、坂を駆け上がった後の興奮した馬の対処法についても「歩かせるなど落ち着かせることが必要」と話した。2日間の騎乗ぶりを振り返り、「坂は問題ない。けがなくスムーズにできた。みんなに認められる馬に寄り添った祭りにしたい」と話した。
4日に会場で上げ馬神事に抗議をしていた団体なども5日には見られず、大きな混乱はなかった。【渋谷雅也、松本宣良】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。