研究のため、麻酔で眠らされるホッキョクグマ=坪田敏男教授提供

 絶滅が危惧されているクマの保全やヒトとの共存に向け、北海道大学大学院獣医学研究院の坪田敏男教授(野生動物学)らが研究資金を募るクラウドファンディング(CF)を行っている。目標額を1000万円に設定し、達成できれば道内外のクマの生態調査費に充てる。受け付けは15日まで。12日時点で800万円ほどが集まっている。

 坪田教授によると、クマは世界に8種いて、ヒグマとアメリカクロクマを除く6種の絶滅が懸念されている。一方、2023年度は国内で200人以上が人身被害に遭い、安全確保のため、8000頭が捕殺された。

 坪田教授は「人間とクマが共に生きられる未来をつくるには、クマの生態を知り、適切な距離や関係を構築する必要がある」と指摘する。そのために大規模・長期の調査が欠かせないが、短期間で成果を上げられず、既存の補助金の対象にならないことも多いという。昨春にも同様のCFを実施。「企業などからの研究費獲得も難しく、予算面で苦慮することが少なくない」と訴えている。

 寄付金はホッキョクグマやスリランカのナマケグマの調査、北海道内のヒグマに装着するGPS付き首輪の購入、普及啓発活動などに使う。寄付は3000円から100万円まで、CFのウェブサイト(https://readyfor.jp/projects/bearconservation2024)で受け付けている。寄付額に応じてオンラインイベントへの参加券や新刊本の贈呈を受けられる。【片野裕之】

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