(19日、第71回春季東海地区高校野球大会準決勝 中京大中京7-0津田学園)
準決勝を15時間後に控えた18日午後10時過ぎ。中京大中京の3番打者、山田頼旺選手(3年)は自宅でバットを握った。不調を振り払うため20分間、素振りした。
迎えた当日、4点差をリードする七回裏無死一、二塁。ファウルで粘り、甘い内角高めの直球を振り切った。ボールは左翼手の頭を越えて2点適時二塁打に。コールド勝ちにつなげた。
前日の試合は4打席無安打だった。監督らから「振りが小さい」と指摘された。春から打撃がなかなか上向かない。結果が出ないことで焦り、振りが小さくなっていた。
それが、準決勝では4打席3安打。前夜の素振りとあわせ、反省を生かした。
ひたむきな性格は小学生の頃から変わらない。
小学2年のとき、サッカーから野球に転向した。当時、友達同士で名札を、入れ物に投げる遊びがはやっていた。山田選手はうまくできなかったが上手な友達がかっこよく見えた。じゃあ野球を練習しよう。それが始めたきっかけだった。
コントロールを磨き、中学では投手として全国大会に出場。ひじを痛めて野手に転向してからは、特に打撃を磨いた。
道具選びにも性格が垣間見える。山田選手は、いまチーム内で唯一、木製バットを使う。複数本から自分に最適なバットを選び抜いた。使用するのは、読売ジャイアンツの坂本勇人モデル。準決勝でも、木の乾いた音を響かせて安打を重ねた。
将来の夢は「プロ野球選手」ではない。チームの顔になるようなプロ野球界で活躍する選手になるのが夢だ。まずは中京大中京の顔になれるか。21日の決勝に期待がかかる。(渡辺杏果)
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。