体操の全日本個人総合で選手権最終日は14日、男子決勝が群馬・高崎アリーナであり、橋本大輝(セントラルスポーツ)が4連覇を果たした。2位の岡慎之助(徳洲会)は初の表彰台。3位に東京五輪代表の萱和磨(セントラルスポーツ)が入った。4位は杉野正尭(たかあき)(徳洲会)、5位は土井陵輔(セントラルスポーツ)で、リオデジャネイロ五輪団体金メダリストで34歳の田中佑典(田中ク)が6位。
- 神様、いじわるすぎん?泣いて、泣いて、でも本気で思う「俺が一番」
「やっぱりあん馬、鉄棒で」
両手をあん馬にそえて、願いを込めるように10秒間静止してから、杉野が演技を始めた。大きな旋回をしながら、右へ左へ。ノーミスで着地まで終え、「シャー!シャー!」。特大の雄たけびを2度あげた。
無理もない。背水の陣だったからだ。
杉野はあん馬と鉄棒なら日本で1、2を争う。
だが、一昨年の全日本シニア選手権で個人総合優勝したことで、「自分はオールラウンダーだと勘違いした」。6種目をまんべんなく練習して臨んだ昨年の全日本は、鉄棒で落ちて泣いた。
パリ五輪代表は橋本がすでに内定。残り4枠は、個人総合型の選手が2人、種目特化型の選手が2人選ばれる。
今年は迷うことなく特化型での切符を目指し、「世界中の誰よりもあん馬の上に滞在し、誰よりも鉄棒で離れ技をやってきた」。
今大会と5月のNHK杯の計4演技のうち高得点だった3演技をもとに選考される。なのに、2日前の予選であん馬から落ちた。いきなり追い込まれていたのだ。
この日はあん馬で全体3位、鉄棒も高難度の手放し技を連発して、1位の得点を記録した。
個人総合も4位となり、総合でも代表に入れそうな勢いだが「やっぱりあん馬、鉄棒で点数を稼いでいくのがベスト」。
3年前の東京五輪代表選考ではライバルに0.018点及ばず、補欠に回った。綱渡りの選考レースを、今度こそ勝ち抜く。(内田快)
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