西武のドラフト1位ルーキー・武内夏暉(22)が快投を続けている。11日には開幕から負けなしの3勝目をマーク。さらに初登板から5試合連続QS(投球回6回以上自責点3点以下)で、99年の松坂大輔氏を抜く球団新記録を樹立した。

今季6度目の登板となった19日のソフトバンク戦。地元・福岡での登板を誰よりも待ち望んでいたゴールデンルーキーは、小学生時代、よく球場に足を運び、野球観戦をしていたという。なかでもソフトバンクの大ファンで、ファンクラブにも加入していたほどだ。

ソフトバンクvsロッテ(北九州市民球場)で祖父がホームランボールをキャッチ

スタンドから何度も試合観戦をしていた少年が、この日、プロ野球選手となって初めて地元・福岡(みずほPayPayドーム)のマウンドに立った。そんな特別な試合に、国学院大時代にもなかなか武内の登板試合を観戦することができなかったという家族が駆けつけた。

父・修二さんは「家族、友人などみんな来ると思うので雄姿をぜひとも観たい」。母・由利江さんも「いつも画面越しでは観ていて、堂々とした投球をしている夏暉を生で見られるというのは嬉しいです。後悔のないピッチングをしてほしい」と息子の凱旋登板を心待ちにしていた。

完封目前もアクシデント

両親の想いに応えようと、武内は1回から2者連続三振を奪うなどエンジン全開だった。「ストライク先行で自分の思い描いた通りの、いいイメージで投げられました」と語ったように、最速151キロのストレートを軸に変化球を有効に使い、リーグ1位の得点力を誇るソフトバンク打線を8回まで無失点に抑えた。

「両親や友人が来ていて、いつもと違う気合が入りました」。9回、プロ初の完封がかかる場面は、「自分から行きます」と続投を志願したという左腕だったが、投球練習時にアクシデントが襲った。左足の太もも裏に違和感を感じたという。「最後まで投げ切るつもりだった」が、この日の100球目、9回・先頭打者・周東佑京(28)にヒットを許したところで無念の降板。その後、後続が打たれチームは今季8度目のサヨナラ負けを喫した。

応援する家族

両親が見守るなか、あとアウト3つというところでの降板に「そうですね、一番悔しいです」と武内。それでも「まずしっかりリカバリーして、また良い状態でマウンドに上がれるように準備していきたい」と前を向いた。

両親は試合中、息子の夏暉がアウトをとる度にエールを送った。「本来のピッチングは十分見せてもらったので、親としては100点をつけてあげたい」と父・修二さん。母・由利江さんは「本当に頑張ったし、感動しました。ありがとうございます。良く頑張りました」と安堵の表情だった。

一夜明けた20日、所沢の球団施設での投手練習では別メニューで調整。大事には至らなかったが登板機会がないため出場選手登録を抹消された。30日以降に再登録が可能となる。4勝目は逃したが、これで初登板の4月3日オリックス戦から6試合連続のQS。パ・リーグの新人としては初の快挙だ。防御率もリーグ2位の1.43とし、ルーキーらしからぬ堂々としたピッチングを続けている。

■武内夏暉(たけうち・なつき)
2001年7月21日生まれ。186センチ、90キロ 。右投げ左打ち。福岡県北九州市八幡西区出身。福岡県立八幡南高〜国学院大を経てドラフト1位で西武ライオンズに入団。4月3日にプロ初登板で初勝利を挙げた。憧れはソフトバンクホークスの和田毅。好きな芸能人はデヴィ夫人。

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