セ・リーグ首位をキープしている阪神タイガース。先週の中日ドラゴンズ・東京ヤクルトスワローズの試合で活躍した選手や2軍降格となった佐藤輝明選手について、5月20日、前監督の矢野燿大さんが解説しました。

今季安定の才木投手 両リーグ単独トップの5勝目

 ―――5月17日(金)~19日(日)の東京ヤクルトスワローズとの3連戦は2勝1敗で勝ち越し、首位キープの阪神。19日は雨の中、7対2で勝ちました。先発した“日曜日の男”才木浩人投手は6回を投げて被安打5の2失点で、両リーグ単独トップとなる5勝目です。才木投手は今シーズン特に安定していますね?

 「安定していますね。しかも雨で足元が悪い中でこうやってしっかり投げてくれる。日曜日なのでピッチャーをつぎ込めるんですけど、才木は結構長いイニングもいってくれる。そして変化球ですね。本当にスライダーが良くなっているんですよ。フォークもめちゃくちゃ良くなっています」

 ―――19日の試合では、2点リードの8回ノーアウト満塁の場面で木浪聖也選手が2点タイムリーヒット。木浪選手は満塁では5打数3安打4打点と、チャンスに強いですね?

 「最近上がってきましたね。ちょっと苦しい時期があったんですけど、だいぶ良くなってきたので、ここからまた楽しみです」

石井投手は「もともとストレートが良いが、今はカーブでもフォークでも空振りが取れる」

 ―――そして、矢野さんが『ここがすごい』としたポイントが、18日の試合で7回に登板しヤクルトのクリーンアップを完全に封じ込めた石井大智投手のピッチングということですね?

 「もともとストレートは良くて、7回に石井がいるっていうことで本当に安定している。岡田監督が思い切っていけるっていうところが石井大智の成長にありますね」

 ―――バッターからすると、角度がついているように見えて打ちにくいということですが、身長は175cmでそんなに高くないですよね?

 「体は小さいですけど“上からたたける”ので。なでるように投げないので、体は小さいですけど角度がある。もともとストレートが良かったんですけど、今はカーブでも空振りが取れる。そしてフォークでも空振りが取れる。シンカーも投げるんですよ。空振りが取れるボールがめちゃくちゃ増えているので、アウトのほとんどが三振なんですよ。それぐらい空振りが取れるピッチャーが7回にいてくれる。石井大智、ぜひ覚えておいてください」

4番に入った原口選手は「1球に対する執念・集中力がさらに上がってきた」

 ―――ヤクルトとの3連戦の前、16日(木)の中日ドラゴンズとの試合は、3月の開幕戦と比べて打順が大幅に変わっていました。しかし、打線がつながり9得点で勝利。不振の大山悠輔選手に代わって原口文仁選手が4番に入り、1号3ランを放つなど4打点の大活躍でした。

 「もちろん開幕戦のオーダーが理想なんですけど、前日(15日)の試合に勝ってるんですよね。勝ってるからこそ思い切ったことができたっていうのは岡田さんの中でもあったかなと思うんですけど、この試合でも勝つんです。選手層の厚さの面でもタイガースは強いですし、やっぱり原口ですよね。4番に原口が入っても違和感なくしっかりこういう活躍をしてくれるっていうのは選手層の厚さ。監督も心強いなっていうのはありますよね」

 ―――改めて、原口選手の『ここがすごい』というポイントはどこですか?

 「普段からの取り組み方。原口はチーム内でなんて呼ばれてるか知ってますか?『先生』って言われているんです。取り組み方とか、全部見本になるっていう。普段からの取り組み方はみんなめちゃめちゃ評価していて、『原口やっぱりすごいよね』って。原口は大腸がんという病気を経験し、復帰して、1球に対する執念・集中力とかがさらに上がってきて、もっとすごくなったんですよ。だからこういう勝負強さっていうのは原口の強みかなと思います」

 ―――翌日17日のヤクルト戦では4番を大山選手に戻しましたね。

 「(岡田監督は大山選手を)信頼しているんですよ。でもそれをまっすぐ言うんじゃなくて、ちょっと変化球的に、休みじゃないよっていうような危機感もちょっと与えながら、でも本質というか根本で“お前のことを信頼してるからな”っていうのが、岡田さんのメッセージだったんじゃないかなと僕は思います」

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