ネーションズリーグの男子大会開幕(22日、アルゼンチン戦)を前に、バレーボール男子日本代表の西田有志(24)、宮浦健人(25)、山本智大(29)、大塚達宣(23)、関田誠大(30)、髙橋健太郎(29)が集結した。昨年のネーションズリーグでは国際大会で46年ぶりとなるメダルを獲得。既にパリ五輪出場を決めている男子日本代表の強さの秘密を徹底分析。さらにお互いをよく知る6人が、それぞれの魅力を語った。

男子日本代表、強さの秘密は満場一致の“レシーブ”

6人が考える日本の強みとは。「スパイク」、「レシーブ」、「ブロック」、「サーブ」の4つの札から一つだけ選んでもらった。

セッター・関田誠大:なんだろうなー難しいね。

オポジット・西田有志:結構今、全部いいよね。

近藤夏子TBSアナウンサー:せーの!(全員「レシーブ」の札をあげる)あ、全員一致!すごい!

ミドルブロッカー・髙橋健太郎:これ勝てるな。俺だけブロックとかにしなくてよかった(笑)自分のにしなくてよかった。

近藤:みなさんレシーブと答えられましたが、レシーブと答えた意味を教えてください。

アウトサイドヒッター・大塚達宣:日本人選手は他の国と比べてもやっぱり身長が低かったりとか、高さがなかったりとかしますけど、そういう相手に対してブロックと、後ろのディフェンスがしっかりしてるから、ここまで戦えていると思うので、そういう意味でやっぱりレシーブ面っていうのが一番大事かなというふうに思いました。

西田:ずっとレシーブの強化をやってきているので、ここ数年で本当に強みになっています。それこそスパイクだったり、ブロック、サーブの全てのレベルが上がっているというのももちろんなんですけど、リベロの山本選手だったり、小川(智大)選手とかを筆頭にサイドの選手たちがリズムを取ってくれたり、ディフェンスで繋げてくれたりしている。オポジットの僕たちもディフェンスにしっかり貢献できるような練習というのを、今もやってるので、このレシーブがあるから今勝てるのかなと思ってます。

髙橋:僕が抜かれた先にしっかりリベロの山本選手、小川選手とかが、タッチボールを取って。厳しいボールでも石川(祐希)選手とか(髙橋)藍とか大塚がしっかりそれを拾ってくれて。僕の1点じゃなくても、レシーブから繋がって日本の得点になると、僕も仕事をしている実感が湧くので、日本のレシーバー陣はほんとにすごいなと思う。サーブレシーブにしてもしっかり日本の速いテンポで、精度よく4枚攻撃ができるっていうのが日本の強みだと思っているので、1本目でしっかり崩れずに毎回そういうテンポで仕掛けられるっていう、そこはやっぱり海外の選手には真似ができない器用さだと思っている。

リベロ・山本智大:もちろん僕はリベロとして上げて当たり前なんですけど、リベロ以外のアウトサイドの選手だったり、関田選手だったり、オポジットの選手2人も結構体に当たる範囲では高確率で上げてくれる。リベロ以外のポジションのプレーヤーがしっかり上げてくれるのも一つの強味かなって思います。

髙橋:ほんとすごいですよね。上がらなかった時に絶対指摘し合える関係だし、本当にそういったところは日本代表の練習やってても意識がすごく高いなと思うので、こんなに多分やっているチームは他にないと思うのですごいなと思います。

超攻撃的ポジション、オポジットの西田や宮浦も積極的にレシーブ。ディフェンスへの強い意識が海外との体格の差を埋めている。

オポジット・宮浦健人:自分は2シーズン海外でやってたんですけど(2022年8月~。現在はパリ・バレーに所属)、こっちに帰ってきて、AB戦(紅白戦)をやると普通だったら決まってたボールがいつもレシーブされるので、相手としてはすごいストレスもかかるし、改めて日本の強みだなっていうのはすごく感じます。

近藤:関田選手はレシーブが集まってくると思うんですが、日本代表のレシーブをどう感じてますか?

関田:何とかしてみんなが繋ごうという気持ちがあるんで、それがリベロだけじゃなくて全員が。やっぱりレシーブがあってこその攻撃だと思うんで、それが一番大きいなと思います。

髙橋:意思統一されてる。やるべきことが明確化してるっていうのはいいことですよね。

お互いに“キャッチフレーズ”をつけ合う

近藤:お互いに愛称を考えていただいたんですよ。誰が考えた愛称かは後で発表するんですが、順番にめくっていただきたいと思います。まずは最年少アウトサイドヒッターの大塚選手お願いします。

大塚:「万能な早稲田卒」。

近藤:これを考えてくださったのは?

髙橋:はい、ひねりがなくてすみません。本当に申し訳ない、なんでこれが選ばれたんだろ(笑)彼はすごくユーティリティにあふれるオールラウンダーなんですよ。それを考えたときに「万能な」っていうのは出てくるじゃないですか。その後に続く言葉がなかったんで、「彼は早稲田卒だな」と思って、頭がいいからそれで早稲田を選びました(笑)

大塚:嬉しいです。ありがとうございます。

近藤:ちなみに採用には至らなかったですが、 山本選手からは「仕事人」、宮浦選手からは「テクニシャン」という愛称もありました。続いて、守備の要・ミドルブロッカーの高橋健太郎選手。

西田・関田:守備の要?(笑)

髙橋:いや、そうですよ(笑)「壁。」これ誰だろうな(笑)

大塚:(静かに手を挙げる)

髙橋:いじってる?これいじり?(笑)

大塚:いやいや本当に立ちはだかる壁なんで、あとチームのみんなのお父さん的立場というか、みんなの背中みたいな。

髙橋:それ「壁。」に繋がる?(笑)

近藤:ちなみに宮浦選手も「日本の壁」と名付けていらっしゃいますけど。

宮浦:そうですね。やっぱり健太郎さんはブロックがすごいので、そういった名前をつけました。

近藤:続いてチームの司令塔・セッターの関田選手お願いいたします。

関田:「魔法使いの関田さん」

近藤:どなたでしょうか?

大塚:(手を挙げて)これ僕のしか採用されてないんですか?(笑)もうボールを操ってるんで。

関田:ありがとうございます。

近藤:西田選手も「魔法使い」と書かれてました。

関田:魔法は使えないよ?

西田:(笑)マジレスじゃん、急にマジレスじゃん。

世界一のリベロとも称される山本はボールを拾いまくる「ディグ神」(by髙橋健太郎)。去年のネーションズリーグ3位決定戦で7本のサービスエースを決めたオポジット・宮浦健人は「歳を重ねるごとに曲がりが強くなっている」(大塚)ことから「バナナサーブ」(by大塚達宣)だった。

近藤:採用には至らなかったのですが、山本選手から「普段とコート外のギャップというネーミング。これはどういった・・・

山本:コート外は結構ホワーンとして優しい性格なんですけどコートに入ったら一点決まるごとに吠えたりガッツポーズしたり。そのギャップに皆さんやられるんじゃないかなって思います。

近藤:そのギャップ、西田選手どう感じてますか?

西田: もうちょっと僕のモーションを真似してくれた方がいいと思いますね。

宮浦:そうですね。コート内で盛り上げるっていう意味では、西田選手を真似したいですけど敵わないなと思います。

近藤:最後に西田選手、お願いします。

西田:「ゴリラ2世」。もう予想通りですよ。

近藤:ちなみにこれを名付けられたのは?

西田:自分ですね。なんか僕間違えて自分の(アンケートの)欄に書いたんですよ。

髙橋:そしたらもうそれが正解だよ(笑)

西田:前に代表で活躍されていた清水邦弘選手(37)(愛称:ゴリ)から、「ゴリラ」を取って、背番号も同じ1番を背負っているので、それで2世ということで、これでいいかなっていう感じです。ひねりもなくこれでいかせていただきます。

近藤:高橋選手も「勢いのやばいゴリラ」と名付けてました。

髙橋:もうそのまんまです、見たまんま。

西田:バケモノやん(笑)

そんな6人に、主将・石川祐希からビデオメッセージが届いた。

石川祐希:チャオ。石川祐希です。代表合流は遅れますけど、練習はしっかりと見させていただいてて、いい練習もできてると思うので、また合流するのが楽しみです。待っててください。

髙橋:なんだお前か(笑)祐希のこの髪型あんま似合ってないよな。

山本:似合ってない。

髙橋:思ったでしょ?パーマが強くて似合ってない

西田:ちょっと老けたよな、年いったよな。

山本:やめろ(笑)

関田:苦労してんだよ。

山本:めっちゃボロカス(笑)

西田:まだきてないのに。(石川の凄さは)バレーIQ がもともと高いんでそれにあのポテンシャルがあって、すごい努力しますし、そこは1番強み。海外の選手と比べてもトップの努力をしているだろうし、プレーも含めという感じですね。

パリ五輪を見据え、初戦のアルゼンチン戦へ

22日にアルゼンチンとの初戦を迎える男子日本代表。日本の強みである“繋ぐバレー”で、52年ぶりの悲願、パリ五輪でのメダル獲得を狙う。

大塚:今年このチームでオリンピックでメダルを取ることを目標にもちろんしてますけど、そのためにできることって毎日頑張るだけだと思うので。その積み重ねだと思うので、今できることを必死にやるだけかなと思います。

髙橋:僕は10年前ぐらいから日本代表にも入っていて、昔の勝てない時期も知っているんですけど、本当に10年前ぐらいまでは、バレーボールの感覚が違うというか、もうやっている競技自体が違うんじゃないかと思うような感じだったんですけど、今は本当にどこの国に対しても絶対引けを取らないし、日本のバレーボールのやり方っていうのを確立している。相手もそれに対し苦手意識を持っている中で、自分たちの強みを活かせば勝てるというポジションまで来ている。(世界ランキングが)上位2チームのポーランド(1位)とアメリカ(2位)に勝つことが難しいと言われているところだと思うので、そこにどういう風に自分たちの強みを活かして勝っていくかというのが、今後の僕たちの課題だと思う。だけど僕は絶対に勝てると外から見てても思うし、中に入っていても思うし、全然その差はない。本当に近いと思うので、五輪でもそうですけど、ネーションズリーグでも上位を狙えると思ってます。

関田:オリンピックの前の大会なので、チーム力、個人もしっかり上げていきたいですし、いろんなことが起きると思うので、そこをいい経験としてオリンピックにつなげられたらなと思います。

西田:オリンピックでメダルを取るということだけをフォーカスしているので、ネーションズリーグでも去年の自分たちの順位を超えていくっていうことが、今の準備している段階ではあると思うので、それを一つずつクリアして最後のオリンピックで表彰台に立ちたいなと思います。

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