年末年始に花園ラグビー場で行われる全国高校ラグビー大会。その出場校を決める大阪大会のシード順位を決定する重要な戦い(大阪総体)が、5月19日に大阪市の鶴見緑地球技場で行われました。
大阪地区代表は3校で、3つの地区に分かれて予選が実施されるため、大阪桐蔭や東海大大阪仰星といった全国有数の強豪チームとの対戦を回避するためにも、シード順位で3位までに入るのが、全国出場に有利な条件とされています。
その3位の座を懸けて、昨年初めて花園への出場を果たした関大北陽と、昨年は、東海大大阪仰星に敗れて全国大会への出場を逃した悔しさを胸に、名門復活へ燃える常翔学園が対戦しました。
大阪総体準決勝、選抜大会、サニックスワールドユース大会制覇と、この世代をリードしている大阪桐蔭に完敗している関大北陽。
一方、東海大大阪仰星との接戦を落として、3位決定戦にまわった常翔学園。前半から両チーム一歩もゆずらない白熱の展開となります。
常翔学園が18分までに2つのトライを奪うと、関大北陽も粘り強く反撃。
25分にNO8の安田快史選手のトライで14対10に迫ると、前半終了間際には、左ウイング細井一志選手のトライで逆転、SO丸尾拓真選手がゴールも決めて17対14と、前半は関大北陽がリードして折り返します。
しかし、常翔学園の白木繁之監督が「ここからリセットして、もう一度先制するつもりで、取りに行こう」と気合を入れ、後半開始直後から、一人一人が持ち前の縦への推進力を見せて攻撃のリズムをつかみます。
そして、井本章介キャプテンが、「全国でもトップのスクラムを組める自信をもっている」と話したように、スクラムを押し込んで、関大北陽からペナルティーを奪取。
このチャンスにラインアウトからのモールを、巧みなコントロールで押し込んで、最後はキャプテン井本選手が自らトライ。19対17と逆転に成功します。
その後も、スクラムを軸に関大北陽を押し込んで、敵陣で試合を進める常翔学園。しかし粘り強いディフェンスの前に、大事なところでミス、なかなか得点につなげることができません。
逆に関大北陽は13分、キックを上手く使って常翔学園陣内に攻め込むと、FW陣の素早い反応で常翔学園のペナルティーを誘発、後半初めてのチャンスをつかみます。
ゴールラインまで40m地点。選択はショット。決まれば再逆転となるPGを丸尾選手が狙います。しかし、キックは左に外れてゴールならず、逆転のチャンスを逃しました。
ピンチをしのいだ常翔学園、再びFWで圧力をかけて、関大北陽のゴールラインに迫ります。
攻める常翔と、耐えながらもしぶとくチャンスをうかがう関大北陽、この後、両チームの気迫がぶつかり合う攻防が10分近く続きます。
どちらが勝負の流れを手にするのか、緊張感漂う戦いの中で、勝利を引き寄せたのは、常翔学園自慢のスクラムでした。
後半22分、スクラムからのサイド攻撃で関大北陽のゴールラインまで5mに攻め込むと、最後は再びスクラムをコントロールして、ディフェンスの対応が薄くなったサイドを後半からSHに入った元橋直海選手が鮮やかに抜け出してトライ。FB朝野楽選手がゴールも決めて26対17、手に汗握る攻防に決着をつけました。
この結果、常翔学園がシード順位の3位を獲得。全国高校ラグビー大会大阪地区予選では、大阪桐蔭と東海大大阪仰星、常翔学園がそれぞれ3つの地区に分かれて、予選を戦うことになりました。
試合後、井本キャプテンは、「今日は勝つことが何よりも重要だったが、課題も多かった。絶対的な自信を持っているスクラムのおかげで何とか勝ち切ることができた。もし花園大会の予選で関大北陽と戦うことになったら、このままでは危ないと思うので、もう一度原点に戻ってこの後の練習、そして夏合宿とレベルを上げていきたい」と話しました。
いっぽう白木監督は、「プレッシャーもあって課題の残る試合になってしまったが、とにかく勝つことが大事だったのでほっとしました。ここからは、シンプルに常翔学園伝統の1対1の勝負で前に出ること、縦への強さにこだわって強化していきたい」と語りました。
高校ラグビーの歴史の中で、一人一人の強さ、速さで相手を圧倒して、数々の栄光を築いてきた大阪工大高の流れをくむ常翔学園、復活にむけて、第一関門を突破しました。
大阪総体のタイトルをかけた戦いは、大阪桐蔭が試合運びのうまさをみせて、今年度の公式戦3度目の対戦となった東海大大阪仰星に勝利しています。
【大阪総体決勝トーナメント順位決定戦】
1、2位決定戦
大阪桐蔭(1位)38-12東海大大阪仰星(2位)
3、4位決定戦
常翔学園(3位)26-17関大北陽(4位)
5、6位決定戦
大産大附属(5位)24-10近大附属(6位)
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