【山口】(1日、春季中国地区高校野球大会1回戦 尾道3―2宇部鴻城) エースの松成乃馳(だいち)投手(3年)が救援のマウンドに立ったのは三回表。2点目を失い、なおも1死満塁の場面だった。「悪い流れを断ち切ってやる」と気合を入れて投じた初球を中前に運ばれた。三塁走者が本塁を突き、0対3。
「あの一打で気が引き締まった」と振り返る。その後は得意の直球を武器にストライクが先行。テンポの良い投球で要所を抑えていった。捕逸で三塁に走者を背負った七回も落ち着いて後続を断ち切った。
好投するエースをもり立てようと、1安打に抑え込まれていた打線に火が付いたのは八回裏。1死後、松成投手が死球で出塁すると、代打の刀根海礼(みらい)選手(同)の右前打を皮切りに、森岡淳選手(同)と村田流星選手(同)が安打を重ね、1点差に詰め寄った。九回裏も二死から連打で好機をつくった。だが、そこまでだった。
昨秋の中国大会。準決勝で広陵(広島県)に敗れ、センバツへの夢を絶たれた。そのリベンジを胸に乗り込んだ今大会。広陵と戦う前に初戦敗退となった。
「甘い球はどんどん振っていこうと話していたのに、序盤から思い切った攻撃ができなかった」。三牧琳太郎主将(同)は唇をかむ。
今のチームに足りないのは何か。練習だけでなく、日々の生活を一から見直すつもりだという。
試合後、応援してくれた保護者らを前にこう誓った。「夏は必ず、勝って終わりたい。あと40日、覚悟を決めて再スタートを切っていきます」(三沢敦)
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。