高校野球の発展につくした人へ日本高野連と朝日新聞社が贈る育成功労賞に3日、秋田県内から秋田修英の鈴木寿宝(ひとし)監督(60)が選ばれた。監督歴は計34年ほど。4月から校長となって忙しさが増すなかでも、足はグラウンドへと向かう。

 「いい意味で警戒されない監督です」と責任教師の佐藤秋彦さん。選手には監督自身が近づいていってアドバイスする。ある選手は「その場で言ってくれるので、すぐに修正しやすいです」。学校祭で1年生に誘われるまま、ステージで一緒にダンスを踊ったこともある。

 「甘くなったと言われることもありますが、指導のやり方が増えたということなんでしょう」。本人はそうほほ笑んだ。

 法政大を出た1986年の夏、母校の秋田経法大付(現明桜)の監督に就任。ときには厳しく指導し、甲子園に計8回(春3、夏5)導いた。

 その後、2010年に同じ私立の秋田修英の監督に就くまでの間、交流人事などで角館や西仙北、大曲農太田を指導した。これらの公立校での経験を振り返り、「勝負より野球そのものが好きという子も多かった」。自然とプレッシャーをかけるような指導をひかえるようになった。「野球が好きだというのを、嫌いにさせたくなかった」。この気持ちが今につながっている。

 選手たちに訴え続けてきたのは「今を全力で」ということ。それには「やる気」を出して、「本気」にならなければならない。最近は認めて、ほめることで、自分にスイッチを入れてくれる選手が多い気がしている。「選手は一人ひとり違いますから。どうほめて伸ばしていくか。そこに指導者としての魅力を感じています」(隈部康弘)

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