バレーボールネーションズリーグの第2週・福岡ラウンド(4~8日)が開幕し、石川祐希(28)と髙橋藍(22)が合流した日本は、初戦のイラン戦に3-0(25-23、25-22、25-17)で勝利した。試合の解説を務めた元日本代表の清水邦広さん(37)に、2戦目となるドイツ戦(5日)の見どころを聞いた。
熊崎風斗TBSアナウンサー:福岡ラウンド初戦のイラン戦。清水さん、見事ストレート勝利ということになりました。
清水邦広さん:すごかったですね。本当に強すぎて言葉が出ないくらい、強かったです。
熊崎:「強すぎる」のは具体的にどこか・・・
清水:特にセッターの関田(誠大、30)選手の使い方、トスの使いまわしというのが本当に良かったです。もうこれでもかっていうくらい、ミドルとバックアタック、真ん中のバックアタックばかり使っていたので。イランは真ん中を「止めなきゃいけない、でも両サイド来る」っていう感じだったんで、どこをマークしていいのかわからないぐらい。本当に関田選手の采配が良かったと思いますね。
熊崎:そのトスワークに答えた選手たち。石川選手も髙橋藍選手も西田(有志、24)選手も、もちろんミドルの選手もそうですけど、どうでした?
清水:まずそれができたのは、サーブシーブがすごく安定してたんですよ。サーブレシーブがしっかり安定してパスが返ったから、いろんなところにパス回しがうまくできたので、そこが良かったなと思いますね。高橋藍選手、石川選手は、今回(福岡ラウンド)から合流で、正直トスの合わせ方が難しいかなと思ったんですけど、問題なく今日は全然合っていましたし。長年やってきたので関田選手も「石川選手はこういうトスが欲しいんだろうな」「髙橋藍選手はこういうトスが欲しいんだろうな」ってわかっていましたよね。(攻撃陣が)欲しいトスを上げていて、本当に素晴らしかったですね。
熊崎:世界の強豪チームの日本という意味では、例えば第2セットとか、途中まで結構競っていたじゃないですか。20点以降、石川選手のサーブからブレイクというのが多かった。
清水:昔なら押されてしまったらそのまま日本が沈んでいって負けてしまうことが多かったんですけど、あそこで嫌なムードが流れた時に石川キャプテンのサーブのブレイク、ギアを上げていってのブレイク。「俺がしっかり試合を制覇するんだ」っていう気持ちがこもってましたよね。なので石川選手はサーブを16本打っているんですけど、ほぼ半分以上は崩してブレイクを取っているので、もうすごいです。ミスも少なかったですし、あんな素晴らしいサーバーは見たことないです。あれができたら、もう簡単に強豪チームに勝てます。すごかったです。
熊崎:西田選手もサーブがすごいじゃないですか。藍選手も当然。
清水:すごいです。もう日本の強みっていうのは、レシーブはもちろんなんですけど、やはり強豪チームを打ち砕くのはサーブ力なので。もう相手からしたら、「次、石川選手のサーブか。次、髙橋藍選手のサーブか。次は西田選手か」。もう全員のサーブが嫌なので。サイドアウトっていうのは非常に相手からしたら嫌だと思いますね。日本チームのサーブ力っていうのは、どんどんどんどん攻めていったら止まらないので。本当に強豪チームは嫌だろうなと思いますね。
熊崎:宮浦(健人、25)選手のサーブももっと見たいですけどね。
清水:宮浦選手、西田選手もそうなんですけど、左利きのサーブというのは左から右方向にカーブしながら曲がるんですよね。横から見ると見づらいかもしれないですけど、縦から見たらネットを越えたあたりから右へぐっと曲がってくるんですよ、ボールが。なのでレシーブするときに右から来たボールを左に弾いちゃうんですよ。なので、あれをAパスで返すっていうのはなかなか難しい。入ったら崩せないくらい、宮浦選手、西田選手もサーブ力がありますよね。
熊崎:5日のドイツ戦はどうでしょうか。
清水:ドイツはオリンピックの出場権を取っている、日本チームも(出場権は)取ってるんですけど、やっぱり世界ランキングは日本の方が上(4位、ドイツは11位)なので、負けるわけにはいかないんですよね。なので、しっかりと勝つことを目的に頑張って欲しいと思いますし、ドイツはミドルブロッカーが非常に大きいんですね。今回イラン戦で関田選手はミドルの攻撃、そして真ん中のバックアタックを非常に多く使ったので、(ドイツ戦でも)警戒してくると思うんですね。なので関田選手のトスまわしも違ってくると思いますし、やっぱり一番はオポジットの9番の選手、ジェルジ・グロゼル選手(39)。もう、得点力が非常に高い一番警戒しなきゃいけない選手なので、この選手をいかに抑えるかっていうのが重要になってくると思いますね。
熊崎:ドイツも去年のオリンピック予選で、ブラジルを倒して、イタリアを倒して組1位(ブラジル、イタリアなどの強豪と同組のプールA組1位)で。
清水:7連勝して。
熊崎:オリンピック(出場を)決めたんですよね。
清水:本当に乗りの乗ってるチームですし、世界ランキングが下なんですけど強豪チームには変わりないので。どういうメンバーでどんな立ち回りをしてくるかわからないですけど、日本のバレーを、イラン戦のようなバレーをできれば、確実に勝てると思いますので自信を持って頑張って欲しいと思いますね。
熊崎:そのあとポーランド戦(7日)もありますし。
清水:強豪チーム続きなので、一戦一戦、イラン戦のような日本の強いバレーを見せていければ自信もついてきますし、頑張ってほしいなと思います。
※世界ランキングは6月5日時点
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