2回にわたってお届けするスペシャル版・堀江翔太ラストメッセージ。2023-2024ジャパンラグビーリーグワン決勝をもって現役生活にピリオドを打った堀江翔太さんをゲストに迎えてたっぷり話を伺った。ラグビーと言葉とは…堀江翔太さんが残した言葉や伝えたメッセージからラガーマン堀江翔太の歴史を振り返る。
■堀江翔太、ラストメッセージ
矢野武アナウンサー「どうですか、この渾身のLED」 堀江さん
「すごいですね。 いつも終わったばっかりじゃないですか。テーピング見て、最近のね」 矢野アナ
「テーピングとかでいつだったかとか分かるんですか」 堀江さん
「多分これ最近のやつですかね。巻いてるので」 矢野アナ
「巻き方が変わってるんですか、それとも素材が」 堀江さん
「ここ巻いてんの、ななかなか巻かない。巻くの嫌やけど、巻いてるっていうのは」 矢野アナ
「そうなんですね。髭の感じちょっと変わったんじゃないですか」 堀江さん
「これ、ちょっとカイゼル」 矢野アナ
「サルバドール・ダリ風の」 堀江さん
「育てようかなと思って」 矢野アナ
「今回大きなタイトルが『堀江翔太ラストメッセージ』です。ラグビーと言葉って切り離せないものですね?」 堀江さん
「キャプテンとかやらしてもらった時とかは、そういうメッセージってもうタイミングだったり、場所だったりっていうのは、結構気にしながらやってた方なんで。このことはミーティングで言った方がいいのかとか、これはメッセージとして伝えた方がいいのかとか。メディアの記者会見とかに言う言葉とかも、選手が絶対見てるから、それに向けほとんど言った言葉だったりとか、結構大事にしてます」 矢野アナ
「今回はこれまで堀江翔太選手が残した言葉とか伝えたメッセージ、ここからラガーマン堀江翔太の歴史を振り返っていきたいと思いますんで、どれだけ本当に覚えてるかどうか(笑)」 堀江さん
「なんかテストされてますね(笑)」
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■一切余裕なし どの試合も大変です(2010年)■一切余裕なし どの試合も大変です(2010年)
堀江さん「これはいっつも思ってます。どの試合も余裕ないなっていうのがいつもです」 矢野アナ
「いつかと言うと24歳の時、2010年トップリーグ初制覇、そのトーナメントに行く直前ぐらいですね。当時選手で初優勝の堀江翔太はどうだったんですか」 堀江さん
「フッカーとして全然出来上がってないというか」
「(Q.大学卒業してから何年目くらい?)2〜3年目、24歳の時ですか」 矢野アナ
「今のチームの24歳は福井翔大選手、長田智希選手。当時の自分と比べてどうですか?」 堀江さん
「福井に比べるともっとちゃんと教えたなと思います。長田に比べると僕のは後輩力高かったと思いますけど、試合でのパフォーマンスとか、出で立ちっていう感じはあいつらの方がなんかこうベテランというか、余裕あるように見えるんで、すげえなって思いながら見てますね」
■ちやほやされたい(2012年)
堀江さん「ああ、これは覚えてますね。これは2015年じゃないですか」 矢野アナ
「全然違うわ(笑)2012年。初のワールドカップのニュージーランド大会の翌年だから、11年大会のことがあって、新しいチームスタートして」 堀江さん
「僕はここのリーダー陣のミーティング時に出してるんですよ。憧れられる存在になりたいっていうの元はこれです」 矢野アナ
「世の中的な報道では、廣瀬俊朗さんが、このチームは皆に憧れられるジャパンになろうと」 堀江さん
「始めミーティングも誰もどうなりたいとか、あれで誰も言わんから、いやもうちやほやされたいでしょと。これを言い換えたのがそれです」 矢野アナ
「全然イメージ違いますよね」 堀江さん
「ここらへんはやっぱりあれじゃないですか、ラグビー全然知られてない時期で。なんとかしてラグビー知られるために。自分も能力も全然ダメやったので、なんとかこう選手として一流になることが、日本ラグビーを知ってもらうっていうのに一番近道なんじゃないかなと僕は思ってたんで。ちやほやされたいなと思ってましたよ」 矢野アナ
「それが進化していってみんなに憧れる代表になろうと」 堀江さん
「そうです。ちゃんと思ってたんやなっていう」
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■勇気なくして栄光なし(2013年)■勇気なくして栄光なし(2013年)
堀江さん「これは僕の座右の銘なんで」 矢野アナ
「今回取り上げたのはイングランド大会の2年前、2013年。スーパーラグビーのチャレンジの前にこの言葉も話してるんですよね。スーパーラグビー自体は堀江翔太にとってはどういうものだったんですか、個人の夢?」 堀江さん
「なんかこう、日本人誰か行かんと、やっぱ切り開かんと。行く道を作らなあかんなっていう僕の中ではあって。まずはここを目指さんと」 矢野アナ
「それはいわゆるこの2011年大会があったからってことですよね」 堀江さん
「そうですね、2011年で日本人あんまりやったなって思われた大会だったので。まずここをその強くするには、自分が、個人的にパフォーマンスがめちゃくちゃ悪かったんで。自分のレベル上げるには海外行って、失敗しようが成功しようがやってみて、勇気だして踏み出さないとそれが開けないっていう。結構ポイントポイントでこれを元にして動いてます」
■最初から勝つつもりでした(2015年)
矢野アナ「9月19日ブライトンです」 堀江さん
「ちょっとリップサービスがありますけどね(笑)まあでも、1%でも勝つと思ってやらないとできないので」 矢野アナ
「それまでの日本代表はなかなかそうなれなかったじゃないですか。何がこう、その気持ちになれたんですか?」 堀江さん
「エディさん(エディ・ジョーンズHC)になってテストマッチ重ねる時にヨーロッパと初めて勝ったり、そういうものの積み重ねで自信が生まれてきた部分はあるかなと思いますね。エディさん、これしたら勝てるっていうようなものも持ってきてくれたというか。僕たちの選手にこう自信を植えつけてくれたので。あんだけ練習したし、もうこれ以外しないっていうようなぐらい頭が自分たちのラグビーが確立されたみたいな。もちろん数%ですけど、最初から勝つつもりでやってました」 矢野アナ
「ブライトンの奇跡で変わりましたよね、日本の代表が。この試合の翌日か翌々日に田村(優)選手は『勝って寝て起きて夢だったら怖いから眠れなかった』みたいなこと言ってましたもんね」 堀江さん
「え、ほんますか(笑)普通にすげえなって」 矢野アナ
「本当に、歴史が変わる瞬間に出会えたんですね」
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■一人でも転げ落ちたら全員転げ落ちる しっかり山頂を見て頑張っていこう(2016年)■一人でも転げ落ちたら全員転げ落ちる しっかり山頂を見て頑張っていこう(2016年)
堀江さん「サンウルブズ、めっちゃボロ負けした…」 矢野アナ
「92対17あのチーターズ戦の。コメントの言葉自体は前向き」 堀江さん
「僕の中のテーマとして、サンウルブズの時はどんなことあろうと、皆重たい腰を上げて来てくれてるんで、絶対ネガティブな言葉じゃ前に進まないと思ってたんですよね。どんなことあっても絶対ポジティブな言葉でモチベーションを下げずにやり続けないとダメだって思ったんです。どんな怒りたい時でも、何してんねんとか練習ちゃんとやれとか、もうちょっと集中せえていうようなこと言わず、自分が行動で示さなあかんし、まずはそのポジ(ティブ)な言葉でなんとか選手と持ちあげようっていうのは僕の中では、サンウルブズのテーマやったんです」 矢野アナ
「でも初代キャプテンとして8連敗じゃないですか。自分のことはどう慰めてたんですか?」 堀江さん
「壊れましたよ、ほんまに。この時はマジでラグビーやめたいって思ってましたし、もっと練習せなかんし、自分たちで自分に矢印向けなあかんし。ワイワイキャーキャーやってる状態で意味あんのかいって思ってた時期やったんで。けど、自分の中でポジティブにおらなあかんっていうやったから。思ってることと発することが逆なわけで、それで病みました。僕のエージェントにラグビーやめたいっていう話をしたのは2016(年)です。めっちゃんしんどかったですね」
■慎さんのスクラムをやれば押されない 勝利は想定内(2019年)
堀江さん「アイルランドじゃないですか」 矢野アナ
「その通りです!キーがスクラムでした」 堀江さん
「そうっすね。(長谷川)慎さんと一緒にラグビーし始めた時に、アイルランドが確か世界ランキング1位だったんです。だからもうそこに僕は全て表準合わしたので」 矢野アナ
「このスクラムっていう意味では、15年はダルマゾさんでしたね。19年が長谷川慎さん。長谷川慎スタイルスクラムってのはどうなんですか?」 堀江さん
「1人1人の役割が決まってるっていうのが、押してて、スクラムやってる感はありますよね。それが一番大きいかなあ。自分たちの仕事すれば1つのスクラムに自分の力がなれてるっていうのが感覚で分かるんですよね。逆に言ったら1人でも抜いたらいかれるっていう」 矢野アナ
「スクラムのために手抜けないし」 堀江さん
「誰か抜いたらもう押されるっていう。スクラムなんで」 矢野アナ
「びっくりしたのは、1列は押すんじゃないんだよっていう」 堀江さん
「相手を崩すためにやるって感じです。相手が崩れたら後ろが押してくれるって感じなんで。その作業をずっていたんです」 矢野アナ
「最前線で組んでないと分からない」 堀江さん
「後ろの押しがめっちゃ大切で。この教え方だったり伝え方が慎さん一番うまいかなって感じです」
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■この一戦 どれだけ自分たちのラグビーに集中できるか どう落ち着いて僕たちのラグビーをするか(2023年)■この一戦 どれだけ自分たちのラグビーに集中できるか どう落ち着いて僕たちのラグビーをするか(2023年)
矢野アナ「イングランド戦の前はどういう状況だったのでしょう」 堀江さん
「多少期待されてる部分も絶対あったと思うんですよね。メディアでは多分選手に向けて言っちゃうとちょっとうるさいなっていう。分かってるわていうような感覚になる可能性もあるんで。メディアでこう言って、ちょっとでも目に入ったらいいなって。これが大切なんで。日本ラグビーっていうのは自分たちの役割って決められてるので、そこにどんだけ集中してできるかっていうのが、日本代表のラグビーやったと思うんで。落ち着いてどんな時が来てもそのラグビーを表現するっていうことが大切かなと」
■生まれ変わってもラグビーはしません(2024年)
堀江さん「もう、まんますね。ラグビーは十分なほどラグビーしたんで。生まれ変わってしたとこで、これを上回ることも難しいでしょうし。こんな楽しくて、こんな苦しいことをしないっしょ。違う道に行くやろうなと思います」 矢野アナ
「それいい言葉ですよね」 堀江さん
「これぐらいの収入得て、だいぶ幸せな人生があるなっていうのはもう分かっちゃってるんで」 矢野アナ
「デビューから16年ですか?」 堀江さん
「16年目、そうですね」 矢野アナ
「ラグビースクールからだと28年」 堀江さん
「そうですね。約30年」 矢野アナ
「最後、こんなシーンをちょっと堀江さんと一緒に見ていきたいと思います。(ラグビーリーグワンプレーオフトーナメント)決勝が終わった後、数分後…。我慢してました」 堀江さん
「僕にかけてくれてる思いというか、僕も周りのお世話になっている人のためにラグビーをしてたって部分もあるので、最後勝って色々と笑いたかったなって部分があったんですけど。一番佐藤さん、太郎さん、家族っていう部分は、結構間近で直接的に僕のことをめちゃくちゃサポートしてくれた人たちにはちょっと申し訳ないと。気持ち、走っちゃって泣いちゃったかな」 矢野アナ
「堀江選手の涙も含めてですけど、そこで報われたなって思う人も」 堀江さん
「嬉しいですけど、最後のプレーも僕で明暗を分けるっていう部分もあったんで、最後のプレーは僕で良かったなと思います。なんか、ああいう試合も僕らしいと思いますし、僕のものに一番なりやすいので」 矢野アナ
「最後のパスの話も…しょいますね。しょい込む人がこの人と思いました」 堀江さん
「周りも気を使って、お前のせいやろって言うやつもいないんで(笑)引退するから言えないやつもいるし」 矢野アナ
「誰かが悲しむより、自分がこれを背負った方がいいと思う人ですかね」 堀江さん
「あれはもう、あれでいいんですよ。引退する僕が持ってった方が。もちろん真横に放ったつもりでも、あんだけスローにふられちゃ、そうなりますし(笑)」 矢野アナ
「一週間ちょっと前なのに、よくそれって話してくれるなって。堀江さんとの話は、来週まだ続きますから、今回はこのあたりで。また来週よろしくお願いします」 堀江さん
「よろしくお願いします」 ■ラグビーウィークリー ■ラグビー日本代表 試合日程 この記事の写真を見る
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