(春季東北大会1回戦 聖光学院1―2青森山田)
同点で迎えた八回2死一塁。聖光学院の背番号11・高野結羽(ゆう)投手(3年)は右太もも裏がつり、ベンチに下がった。ストレッチと水分補給で回復すると、斎藤智也監督に「行きます」と告げた。
ここまで選抜大会8強の相手に1失点。エースも控えるが、監督は「この状況を乗り越える経験をさせたい」とマウンドに戻した。直後、強い気持ちで投げ込み、相手打者を捕飛に打ち取った。
春先までは動じやすく、「右往左往するピッチングだった」(斎藤監督)。自分を変えたいと、仲間に「嫌なことでも正直に言って」と頼んだ。守備陣から「投球リズムが悪くて守りにくい」と言われた。投球練習では、指摘を思い出しながら投げ込みを重ねた。
この日はテンポ良く投げ、連打を許さなかった。ただ、五回に得意のスライダーが暴投になり、失点につながった。以降は直球が多くなり、勝負球にスライダーを投げづらくなった。サヨナラの一打も「直球を狙われてしまった」。試合後、4度、「悔しい」と口にした。スライダーを磨き、自分にもっと自信をつける――。夏に向け誓った。(酒本友紀子)
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