(15日、プロ野球 広島東洋カープ4―3東北楽天ゴールデンイーグルス)

 4―0とリードした七回、広島の強さとチーム戦略が垣間見えた。先発の玉村昇悟が先頭から連打を浴び、一、三塁とされた場面だ。

 高卒5年目の左腕は、今季まだ勝ち星がない。さらに、今季自己最長のイニングに入り、球威は落ちている。それでも新井貴浩監督は動かない。太田光に2点三塁打を打たれて、ようやく交代した。

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 試合後、新井監督は両腕を組んだまま狙いを明かした。「彼はこれからの投手なんで。4点差ですぐに代えたら、彼の成長にならない」

 継投に一つ余裕を持てるのは、盤石な救援陣が控えているからだ。2番手のハーンは犠飛を打ち上げられたが、傷口は広げない。八回からは島内颯太郎、栗林良吏の「勝利の方程式」で連日の1点差勝ちを収めた。

 経験の乏しい先発投手は序盤から飛ばしていけるものの、後ろに頼りすぎても信頼を得られない。玉村は「できれば、きょうは七回を投げ切りたかった。次に経験として生かしていきたい」。

 チーム防御率は2.15でリーグトップを誇る(14日時点)。新井監督は満足そうだ。「高いレベルで競争している中で(交流戦から)、ハーンが加わったことでさらに厚みを増してくれた」

 この日、ソフトバンクを除く他のパ・リーグ5球団にカード勝ち越しを決め、7年ぶりの交流戦勝ち越し。阪神、巨人が苦しむのを横目に、広島は選手に経験を積ませつつ、首位を走りそうな上昇カーブを描いている。(笠井正基)

7年ぶりの交流戦勝ち越し

広島が7年ぶりの交流戦勝ち越しを決めた。二回に二俣、秋山の適時打で先制し、継投で逃げ切った。楽天は6カード連続の勝ち越しならず。

「7年ぶり? そんなの知りません」

 新井監督(広) 交流戦の勝ち越しを決める。「7年ぶり? そんなの知りませんから。首位で勢いのあるチームに勝ち越せたのは自信にしていい」

 今江監督(楽) 交流戦の優勝争いで、連日の足踏み。「うちのチームはそんなの意識したところで逆に重圧になって力を出せない」

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