今からちょうど20年前、日本のプロ野球界は球界再編問題で大きな危機に直面していました。史上初のスト決行、球団合併、新規参入など様々な変革を経て、プロ野球界は大きく飛躍してきました。
そして、この先の未来にはどんな可能性が秘められているのか。古田敦也さんとともに考えます。
<全4回の#3>
#2「交流戦・CS開始 変わり始めたプロ野球界 あれから20年「再編問題」を乗り越えて」からの続き■MLB市場規模拡大 1600億円から1兆5800億円
ここからは日本プロ野球のこれからの未来について考えていきます。まず一つ目のキーワードが「リーグマネジメント」です。
古田さん「まだまだプロ野球は各球団に任せられていることが多いです。だから、リーグでしっかり管理して、お金の管理などを行い、脱落する球団がないように分配していく制度になればいいと思います」 日本とアメリカの野球の運営形態を比較すると、何が違うのでしょうか? 古田さん
「日本球団の主な収益源は基本的にテレビ放映権、グッズ、チケット、スポンサーの四本立てです。各球団がそれぞれ独自に収益を上げているので、どうしても安くなってしまいます。一括でテレビ放送を行い、特定の局に独占権を与えるなど、放映権が高くなります。MLBは放映権やチケット収益を一部MLB機構に集めて、それを30球団で分配しています」 「球団格差がやはりあるので、元気のない球団にもある程度のお金が入るようになっています。リーグとしては『やめた』と言われるのは困ります。球団数が減って、観客も減るので、リーグを中心にみんなで盛り上げていこうという考え方です。日本の場合、各球団任せなので、(運営形態次第で)大きくなるチャンスがあるのではないかと思います」 日本とアメリカで、野球の市場規模を比較します。1995年、日本のプロ野球は約1531億円で、MLBは約1690億円でほとんど差がありませんでした。
しかし、2019年には、日本のプロ野球は推定1800億円、MLBはおよそ1兆5800億円ということで、この間におよそ9倍になったということです。
古田さん「MLBが大きくなった理由の一つとして、コミッショナーにビジネスマンが就任しました。エンターテインメントなので、盛り上げるための様々なアイデアを取り入れました。商業主義ではなく、ビジネスマンが面白いことをやっていこうといろいろ考えてやってくれたので、大きくなったと言われています。日本のプロ野球もまだまだチャンスがあり、マーケットをもっと大きくするチャンスがあると思います」 中林美恵子さん(政治学者・番組コメンテーター)
「アメリカも順風満帆というわけではなかったはずです。特にアメリカにはアメリカンフットボールやバスケットボールなどの大きなライバルがたくさんいて、野球も何とかしなければならないという状況から、様々なイベントや社会貢献のためのイベントが行われました」 「例えば、ピッチャーが投げる時の時間を短くするなど、色んなアイデアが次々と出されました。その努力の結果として大きなマーケット拡大につながったと思います。しかし、日本にもその可能性があります。日本は本場MLBに選手を供給しているので、実はすごいと思っています」
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■「1球団ではできないことを」日本版「リーグマネジメント」PLMが登場■「1球団ではできないことを」日本版「リーグマネジメント」PLMが登場
今後の日本プロ野球界の発展にはリーグ全体でのマーケットの拡大が必要であると語った古田さん。すでに一部でそうした動きもみられています。それがMLBを手本にして2007年に誕生したのがパシフィックリーグマーケティング(PLM)です。 古田さん
「リーグマネジメントのように、パシフィックリーグも6球団集まっていろいろなことをやり始めました」 パシフィックリーグマーケティング 執行役員COO 園部健二さん
「リーグビジネスという考え方自体はMLBを参考にして、1球団ではできないことを束になることで実現させて、そこで上がった収益を6球団にもう一回戻していく。共存共栄してやった方が大きくなる余地がまだある。そこが実現できたら、いいことだな」 古田さん
「パ・リーグTVでファンを増やしています。若いファンが増えているということで、僕もよく見ています。これを12球団で一緒にやったりして、NPB、つまりリーグマネジメントをする。そういうテレビが出来たりなど、みんなでやることで、まだまだ収益が上がるチャンスがあると思います」
そしてプロ野球界の未来を支える2つ目のキーワードが「エクスパンション」です
(6月23日放送「サンデーLIVE!!」より)
#4 「プロ野球界拡大「エクスパンション」の可能性 古田と考える「再編問題」から20年」 に続く(24日18時配信予定)
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