(プロ野球、4日 横浜DeNAベイスターズ3―0東京ヤクルトスワローズ)
八回を終えて無失点、球数は92。DeNAの右腕平良拳太郎は、「いけるか?」と続投の意思を確認にきた三浦大輔監督に、「いけます」と即答した。
投げ続けたい理由があった。
- マウンドでつぶやく、「大丈夫」 どん底を脱した選抜優勝投手のいま
プロ11年目で完封を味わったことがなかった。今季の開幕2戦目の登板ではあと1死が取れず、完封勝ちを逃していた。
志願の九回。2死一、三塁と初めて得点圏に走者を背負った。3番宮本を迎え、「(打ち取るまで)何球かかってもいいので、良い球を」。最後は力のこもった144キロの速球で空振り三振に。無四球完封。普段はクールな28歳が、両手を挙げてほほえんだ。
チームは前日、前々日に救援陣がフル稼働していた。さらにこの日、横浜市は今年最高の気温34.7度を記録する酷暑に。「中継ぎのみなさんのため、どうにか長いイニングを投げたい」と、アウトを積み重ね続けた。
終盤は足をつりかけていたという。それでも、セットポジションから投げて足にかかる負担を減らす工夫で、マウンドを守り切った。
あと1死で完封を逃した試合の後、再び1軍で登板する前に右肩を故障した。復帰が6月下旬までずれ込んだだけ、「強くなって戻らないといけない」と思っていた。この夜のお立ち台で言った。「前半戦で全く力になれなかった分、後半戦は1試合でも力になりたい」。混戦の優勝争いに、頼もしいピースが戻ってきた。(安藤仙一朗)
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