(6日、第106回全国高校野球選手権大阪大会1回戦 枚方津田―交野)

枚方津田の東湧悟捕手(3年)は、高校では野球をやらないつもりだった。でも今、またマスクをかぶっている。

 小学生から野球を始め、中学時代はシニアのチームでプレー。競争は激しく、自分には合わなかった。

 もうやめよう。そう思い、大阪府立の高校を受験した。野球部は甲子園に出たことはないし、上位に進出するわけでもなかった。

 入学すると、荒野博司監督に「野球を楽しい思い出で締めくくらんか」と何度も誘われた。

 一度だけ……。そう言い聞かせて、体験入部に行ってみた。出会った先輩たちは優しく、何より楽しそうに野球をしていた。

 「ここなら、最後を楽しい思い出にできるかもしれない」と感じた。

 知っている同級生はいない。最初はキャッチボールする相手もいなかった。でも、打ち解けるのに時間はかからなかった。

 同級生の8人はみんなユーモアがあり、子どもっぽいところも。ふざけても、受け入れてくれる。

 結果にとらわれると、しんどい。ただ、もちろん勝ちたい。練習試合でミスをすれば、みんなが休憩している間も、ブロッキングやキャッチングの練習をする。

 厳しい練習でも、一緒なら乗り越えられた。

 少し恥ずかしいけど、みんなに感謝している。

 今年の夏は、みんなでちょっとふざけあったり、笑いあったりする「いつもの枚方津田」で締めくくりたいと思っている。(西晃奈)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。