(8日、第106回全国高校野球選手権茨城大会1回戦 水海道一1―3取手二)

 水海道一の主将、水越琉空(りゅうく)(3年)は試合終了の整列が終わるその瞬間まで、笑顔を崩さなかった。「伝統校の主将として、最後まで胸を張っていたかった」

 今年で創部124年。昨夏の主将を務めていた1歳上の兄・丈(じょう)(19)の後を、昨秋、受け継いだ。

 兄の代が抜け、部員は1、2年生を合わせ9人ちょうどになった。投手ができる選手はいなかった。自ら、内野手から転向して投手になった。

 普段の練習ひとつとっても「体調不良で休みがでると人数がそろわず、思うようにできなかった」。他校に頼み、合同練習をすることもあった。

 今春、新入生10人が入部し、「ようやくチームらしくなった」。夏を戦う準備が整った。

 この日は先発登板し、三回に3点を失った。粘りの投球で、これ以降はスコアボードに「0」を並べた。しかし序盤の差を覆すことはできなかった。

 「この1年、大変だったけど、楽しかった。もう終わりなんだと思ったら悔しくなった」。整列から戻り、ベンチ裏でこらえていた涙があふれた。(古庄暢)

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