(9日、第106回全国高校野球選手権山梨大会1回戦 東海大甲府10―0日川)

 昨年の山梨大会の覇者・東海大甲府に9点差をつけられ、なお得点圏に走者を背負った七回表、日川の内野陣がマウンドに集まった。

 二塁手で主将の小沢瑞生選手は「楽しむしかない。やりきろう」。そして、もう一人の主将で、三塁手の中村健太郎選手も「笑顔で行こう」と声をかけた。

 2死二、三塁とされた後、中前打を中堅手が本塁に好返球。10点目を許したが、二塁走者を本塁でのクロスプレーでアウトにする気迫を見せた。

 昨年秋の大会後、チームは2人主将制をとった。プレーでチームを引っ張る小沢選手と、優しい人柄でチームを支える中村選手。「2人がいい感じで補い合って、うまく回った」と三枝恭仁監督は話す。

 小沢選手は「自分が強い言葉で話しても、健太郎が趣旨をうまく伝えてくれる。一人ではできなかった」。中村選手は「自分は強く言えない。それができる瑞生を尊敬している。真意を伝え、チームを明るく盛り上げることを心がけてきた」。

 東海大甲府は春の県大会で敗れた相手。「リベンジ」をかけた一戦だったが、2度の2死満塁を生かせず、コールド負けした。

 「力負け」と両選手。「健太郎がいたからここまで来られた」「瑞生のプレーに助けられた。ありがとうしかない」。試合後、2人は涙をぬぐいながら、互いをたたえ合った。(豊平森)

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