(10日、第106回全国高校野球選手権佐賀大会2回戦 佐賀学園5―2北陵)
佐賀学園のエース古川尚弥投手(3年)は、三回を投げ終わってベンチに戻ると、木村佳正監督からカツを入れられた。「気持ちがボールに表れている」と。
一回は5球で三者凡退に抑えたのに、二、三回と変化球中心の組み立てにしたら、カウントを整える直球を狙われた。連続失点し、モヤモヤしていたところに、監督から声がかかった。
これまでも調子が悪いと、ベンチでよく怒られた。その度に、見返したいと自分を奮起させてきた。この日は「最後の夏なんだから、早く立て直さないと」。冷静さがカギだった。
四回からは、まるで別人だった。吹っ切れたように真っすぐを投げ込んだ。「割合で言えば9対1、いや、それ以上に直球でした」。春に計測した球速140キロには届かなかったが、腕が振れる分、威力があった。本来のテンポの良さが戻り、たまに投げる変化球も効果的だった。四回以降は1人の走者も許さない。堅い守りの支えもあり、18アウトを連続で取った。
中学の硬式野球チームの指導者が佐賀学園の卒業生という縁で、兵庫県加古川市から来た。1年生の時、自転車で転倒して前歯を折ったこともあり、マウスピースをつけて登板する。「走り込んだり、2日連続で登板したりした。投げる体力は問題ない」
初戦から中3日。95球で投げ切り、連続完投勝利を飾った。(森田博志)
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