(10日、第106回全国高校野球選手権東東京大会2回戦 目白研心7―0三田)

 目白研心との初戦に臨んだ三田の目標は、「コールド負けしない」だった。

 部員10人のうち4人が初心者。新チーム結成以降、公式戦は昨秋、今春と初戦で五回コールド負けした。3年生最後の公式戦となる夏の大会、9回まで試合を続けることが悲願だった。

 だが、初戦で当たることになったのは春の大会に0―11で負けた目白研心。しかも、目白研心は1回戦で昨年8強の文京に勝ち、勢いがある。三田のエース、平野慎一(3年)は「打たれるのでは」という弱気と自信が半々だった。

 先発した平野は初回、いきなり1点を奪われた。だが、その後、立ち直り、低めの直球とチェンジアップで凡打の山を築いた。ミスをした仲間にはマウンドから「切り替えよう」と声をかけた。目白研心の鈴木淳史監督は「(平野は)春より心が強く見えた。しんどい試合になる」と警戒した。

 だが、五、六回と追加点を奪われ、じわじわと追いつめられた。0―5で迎えた八回裏、1点を失い、コールド負けまでもう1点も与えられなくなった。

 選手たちは限界だった。二塁手と遊撃手が続けて足をつり、試合は中断。なおも1死満塁で、平野が外角に投じた142球目の直球はわずかに浮き、右中間にはじき返された。八回コールド負け。

 試合後、平野は「回が進むごとに楽しくなった」と笑顔で振り返った。だが、その後のミーティング。「九回までしたかった」と泣きながら話す仲間を見て、涙がほおを伝った。=都営駒沢(中村英一郎)

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