(10日、高校野球秋田大会2回戦、明桜2―3金足農)

 三回1死、左越えの二塁打を浴びて2点目を許した。明桜のエース加藤悠羽投手(3年)はマウンドを譲り、三塁手に回った。それからは、わき上がる悔しさを自らねじ伏せて、リリーフら周りに声をかけ続けた。

 「ナイスピッチング!」「ベンチも(サポートを)頼むぞ」。決して存在感は薄らがなかった。

 「いい投手は自分のほかにもいる。打たれたからといって、悪い表情でいると、チームも悪くなるから」

 明桜には県外から選手が集まる。ベンチ入り20人の中で県内出身は6人。自分もそのうちの1人だが、能代市(能代二中)出身なので寮生活を送る。同じ生活をしていて県外の選手に負けられない。「背番号を取らねば」と踏ん張ってきて、つかんだエースナンバーだった。

 自分が一番うまいぐらいに思っていた入学時。有望選手たちにもまれていくうちに、周りを見られるようになったという。

 「けんかもしたけど、明桜でなかったら関東や関西の仲間との縁もなかった。過ごした毎日は人生の宝物です」。敗れたとはいえ、これで終わりではない。野球は進学して続けるつもりだ。(隈部康弘)

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