(13日、第106回全国高校野球選手権石川大会1回戦 穴水4―7小松明峰)
選手10人で大会に挑んだ穴水。同校卒業生でマネジャーだった石川県立看護大4年の中島いまりさん(21)=石川県かほく市=がスタンドから試合を見つめた。
中島さんがマネジャーだった当時、選手が9人に満たず、連合チームで大会に出場することが多かった。1人でも欠けると大問題。選手の健康管理に気を配った経験は看護の道を志すきっかけとなった。
中島さんが見つめる先で六回裏、主戦の東野魁仁(かいし)主将(3年)が手のしびれを訴え、試合が一時中断。東野はセカンドへ。「(看護の)知識がついたからこそ、マネジャーとして助けにいきたい」と中島さんはもどかしそうに話した。
それでも八回表、無死一、二塁の好機で東野主将の打席。左翼への2点適時三塁打で1点差に迫った。野球部の奮闘が「穴水町の方を勇気づける」と喜んだ。
元日の地震で穴水町の実家は半壊した。穴水野球部のOBで町役場で災害対応にあたった父とは3月まで会えなかった。ふるさとで何かできないかと考え、1月下旬から授業のない日に毎週のように町内の避難所に通い、話を聞いてまわり、血圧も測っている。「少しでも避難する方の不安を軽減することができれば」。卒業後は穴水の病院で看護師として働きたいという。
進学で穴水を離れてからも応援に駆けつけ、東野主将らを1年時から知る。白木正文責任教師からは「勉強がんばれよ」と応援のメッセージもラインで届く。石川大会開会式には、おにぎりやアイスを差し入れしたという。
仮設住宅から通う部員もいるなか、健闘した後輩に「これからも可能性は無限大。やりたいことにたくさんチャレンジしてほしい」とエールを送る。(砂山風磨)
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