(17日、第106回全国高校野球選手権大分大会2回戦 別府翔青5―6柳ケ浦)
延長十一回表タイブレーク。1死満塁のピンチで柳ケ浦の石川一心(いっさ)主将は仲間とマウンドを囲んだ。「落ち着いていこう。まだまだいける」
その前の回で2点を失いながらも、直後の攻撃で同点に追いついていた。日頃からタイブレークなどを想定した守備練習を積んできたチーム。十一回のピンチは併殺で切り抜けた。「練習の成果が出た」と石川主将。
「難しいゲームになる」。石川主将の予想通り、初回から何度も走者を出しながら得点できなかった。一方、相手は少ない好機で得点。九回表には3点差に開いた。
九回裏、ベンチ内ではミスや三振した仲間がうつむいていた。石川主将は「いつも通りやれば絶対にいける」と声をかけた。自身も4打席は凡打だったが、「変化球をしっかり仕留めるイメージができていた」。
仲間の奮闘で1点差に追い上げ、2死一、三塁。打順が回ってきた。スタンドから声援が沸く。インコース低めの変化球を振り抜くと、打球は右前に抜けた。土壇場で同点に追いついた。
一進一退の攻防は、延長十一回裏に幕を下ろした。1死満塁から再び打席は石川主将。3ボールから4球目、低めの球を見送った。主審は「ボール」判定。ベンチに向かってガッツポーズした。
3時間22分の激闘を勝ち抜いたチーム。試合後、「諦めることなく最後まで全力でプレーしたことで勝てた」と笑顔を見せた。(大村久)
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。