(21日、第106回全国高校野球選手権広島大会4回戦 広島商5―2国泰寺)

 キャッチャーマスクを取ると、「小坂、笑えよー!」とマウンドに向かって声をかけた。

 同点で迎えた九回裏、国泰寺は内野安打で1死一、二塁のピンチを迎えた。マウンド上の小坂陸弥投手(3年)は六回途中から登板し、それまで広島商に許した安打はゼロ。硬い表情を見せる相方に、捕手の大西諒汰主将(同)は心配りを忘れなかった。

 打席には4番・米田歩生選手(同)。ここまで4打数無安打。「良いバッターなのはもちろん分かっていた。まっすぐで勝負だと思いました」。小坂投手も、4番相手に逃げるまいと要求通り直球を投げ込む。

 2球目、外角低めに投じた球が少し浮いた。振り抜かれるバットをマスク越しに見た。「いかれた」と思った打球は、風に乗りサヨナラの3点本塁打となった。

 シード校として臨み、昨夏の2回戦でコールド負けした相手にリベンジをするつもりだった。「一体感のあるチームでここまでやりきれた。後悔はありません」と大西主将は言った。(根本快)

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