(24日、第106回全国高校野球選手権埼玉大会準々決勝 春日部共栄6―5浦和学院)

 春日部共栄がシーソーゲームを制した。二回、野口の犠飛で先制。追いつかれた直後の五回は、佐藤の適時二塁打で勝ち越した。八回は浦和学院に5安打を集められ逆転されたが、九回に佐藤や坂寄の適時打などで4点をあげ再逆転し、逃げ切った。

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 浦和学院の主将、三井雄心(3年)は昨夏、2年生ながら甲子園の土を踏み、初戦で9―19という悔しい負けを経験した。新チームの主将となってからは、リベンジすべくチームを引っ張ってきた。

 だが、今春は県大会の16強で敗れた。ここぞという場面で打てず、主将としてふがいなさを感じて自信をなくした。「今思えば、後ろにつなぐ模範的なバッティングを意識しすぎて、思い切ったプレーができていなかった」と当時を振り返る。

 森大監督のアドバイスもあり、積極的に長打を狙うプレースタイルに切り替えた。スイングスピードの強化のために素振りをくり返した。次第に打力が上がり、自信がついた。今大会では何度も長打を放ち、勝ちに貢献した。

 この日は追う展開となった。1―2で迎えた八回、1死二塁の場面。「決めるのは自分だ」。2球目の直球をフルスイングすると遊撃手を強襲する適時打となり、打球はセンター前まで転がった。二塁走者が生還し同点に追いついた。チームは勢いづき、この回さらに2点を挙げて逆転した。

 だが、九回表に再び逆転される。三井はその裏二ゴロで1人をかえすも、自分はアウトになった。次打者が打ち取られ、夏が終わった。

 試合後は、グラウンドで泣き崩れてしばらく動けなかった。森監督は「お前は本当によく頑張ったよ」と肩をたたいたが、「もうこの仲間で野球ができないなんて……。寂しいし、悔しいです」と涙が止まらなかった。(山田みう)

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