（26日、第106回全国高校野球選手権兵庫大会準決勝 報徳学園5―4社）

　報徳学園が延長タイブレークを制し、6年ぶりの夏の甲子園に王手をかけた。

　サヨナラ勝ちを呼び込んだのは、準優勝した今春の選抜大会ではベンチ外だった、右横手右腕・上阪昊誠（こうせい）(3年)の快投だった。

　無死一、二塁で始まった十回、4番手でマウンドに上がった。「自分が打たれたら負ける。緊張がすごいあった」。いきなり四球を許して満塁のピンチに。ここでスタンドを見て、気持ちを落ち着かせた。

　「やってきたこと、後ろ（味方の守備）を信じよう」

　大量失点だけは避けようと、低めへの投球を徹底した。1番打者を低めの直球で空振り三振に取ると、次打者にも低めに直球を投げ込んだ。自身の正面に来た打球を、捕手―一塁とつないで併殺にし、無失点で切り抜けた。

　実は中学時代までは遊撃手だった。「走者を背負ったケース。フィールディングの良さで起用を決めた」と大角監督。その期待に見事に応えた。

　この日は攻めの継投だった。同点の七回に先発・間木歩が適時打を許すと、背番号「1」の今朝丸裕喜にスイッチ。今朝丸は味方の守備が乱れる間に2点を献上したが、打者2人を打ち取った。その裏、今朝丸の打席にちゅうちょなく代打を送り、この回3得点。試合を振り出しに戻した。

　間木、今朝丸の二枚看板をベンチに下がらせたが、イチかバチかではなかった。

　「これまで登板したときに（他の投手たちも）きっちり仕事をしてくれた。信用して送り出した」と大角監督。3番手・伊藤功真は2回を無安打無失点に。総力戦で、3大会連続の甲子園出場を目指した社を下した。

　2年連続で選抜準優勝は二枚看板を抜きには語れない。その2人に負けじと、今大会は他の投手も台頭。あと少しで届かなかった甲子園での優勝へ向け、選手層が厚くなっている。

　「今日の試合を見て、決勝も思い切った采配ができるなと。頼もしい投手陣を見られたので」と大角監督もご満悦。上阪も「間木と今朝丸に近づく努力はしてきた。まだまだレベルアップして、あの2人に追いつきたい」。一丸となって、28日の決勝も戦う。=ほっともっと神戸（大坂尚子）

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