(26日、第106回全国高校野球選手権山口大会準決勝 下関国際11―0宇部鴻城)

 11点差がついた六回。2死二塁の場面で打席に立った宇部鴻城の4番、古谷優真選手(3年)。代打の有川壱瑳選手(同)が中前打と盗塁でつかんだチャンスだ。ここで2点を返さなければコールド負けが決まる。

 「絶対に長打を打つ」

 追い込まれた後の5球目。内角の変化球を打ち上げた。「ああ」。顔をゆがめた。飛球は左翼手のグラブに吸い込まれ、ワンサイドゲームでの敗退が決まった。

 昨夏の甲子園。初戦で散った先輩たちの姿をスタンドから見守った。新チームの4番を任された時、責任と誇りを感じた。「あの舞台で自分たちは必ず勝つ」。そう誓いを立て、練習に明け暮れた。

 県内で秋は準優勝、春は優勝。実績をひっさげ、第1シードで夏を迎えた。2回戦から準々決勝までの3試合で失点はわずか1。2試合はコールド勝ちだった。

 この日の相手は2年前に甲子園で準優勝した下関国際。それでも「圧倒してやる」と「上から目線」を変えなかった。

 そこに隙があったのだろうか。好機を生かせずに初回を終えると、相手の猛攻が始まった。点差はみるみる広がった。焦りが焦りを生む。あり得ないミスを連発した。

 「4番が打てなかったのがすべての敗因」と唇をかむ。

 こんな思いは2度としてほしくない。後輩たちに伝えたい。「俺たちの失敗を踏み台にして甲子園へ舞い戻れ」と。(三沢敦)

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