(27日、第106回全国高校野球選手権山形大会決勝 鶴岡東11―1東北文教大山形城北)
降雨で1日順延された決勝戦。
鶴岡東の先発は、3日前に大会2連覇を狙った日大山形との準決勝で166球を投げたエース左腕の桜井椿稀(つばき)ではない。今大会、3試合目の先発となる2年生左腕の杉浦朔だった。
山形大会で初めて決勝に進んだ東北文教大山形城北とは、今年の春季山形大会決勝で10―8と打ち勝っている。この日の勝負のポイントの一つは、杉浦がどこまで通用するかだった。
2点を先行した一回、杉浦は味方の失策に足技を絡められて1点を返された。
それでも、緩急が持ち味の技巧派左腕は自分なりの修正方法を知っている。「1回は球が浮いていたので、ブルペンで低めに投げて直しました」
二回から立ち直ると、五回には味方が心強い援護をしてくれた。主将の小林優星からの5連打などで一挙、4点を奪い、主導権を握る。この回、杉浦自身も今大会の初安打を放った。
「あそこで引き離して、その後は投げやすかった」。九回2死走者なしで交代するまで、無四球の1失点と好投。最後まで桜井の登板を回避できた。
佐藤俊監督は試合前、「(自分が)驚くぐらい頑張ってほしい」と選手に発破をかけていた。
試合後、驚いた選手を聞かれると「杉浦ですね」と即答。投球について「期待以上」だっただけでなく、「ヒットを打ったんですよ。びっくりしました。たぶん、公式戦初ヒットじゃないですか。彼がヒットを打った時、ベンチが一番盛り上がりました」。
一人だけに頼らず、総合力で勝負できるよう、大会を通してチーム力を高めてきた。
2年ぶりの夏の甲子園に向け、小林は「目標はベスト8以上」。チームの過去最高成績を超えることを誓った。=ヤマリョー(笠井正基)
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