パリオリンピック™でメダルの期待が高まっている日本女子バレー。
6月の「ネーションズリーグ」では、主要国際大会で10年ぶりとなる銀メダルを獲得。
その強さを支えているのが、数々の挫折と苦悩を乗り越えてきたキャプテンの存在でした。

“絶対的エース”木村沙織が注目する選手

「パリ五輪で最も注目するべき選手は?」

元日本代表 木村沙織さん:
「本当に頼れるエースアタッカー。色んな悔しい思いをいっぱいしているからこそ、今本当に強い選手になった」

五輪に4度出場し、“絶対的エース”として活躍した木村沙織さん(37)が挙げたのは、女子バレー日本代表の古賀紗理那選手(28)です。

そして、多くの選手が信頼をよせるバレーボール記者、田中夕子さんも…

バレーボール記者 田中夕子さん:
「古賀紗理那ってこんなにすごいんだよというのを、見てほしい色んな人に。パリ五輪は古賀紗理那史上最強で最高の姿を見せてくれると私は信じています」

木村沙織の“エースの系譜”を受け継ぐ逸材

かつては「東洋の魔女」と呼ばれ、世界が恐れた日本女子バレー。
しかし1984年のロス五輪での銅メダル以降、メダルはおろか五輪出場を逃すなど
苦しい時期が続きました。

その歴史が変わったのが、2012年のロンドン五輪ー。
日本は実に“28年ぶりのメダル”となる銅メダルを獲得しました。
その時のエースが、木村沙織さんでした。
世界に負けない高さと決定力。さらに、守備も一流。
そんな日本の“エースの系譜”を受け継ぐ存在が、古賀紗理那選手だといいます。

バレーボール記者 田中夕子さん:
「古賀選手を初めて取材したのが、高校1年生の時の春高バレー。1年生エースで、
レシーブもするし、攻撃も前衛後衛関係なく打つし、大型180センチを超える選手で、木村沙織2世みたいな言われ方をされていた」

古賀選手は高校2年で、初めて日本代表に。
その時のキャプテンが、古賀選手が「スーパースター」と憧れた木村さんでした。

元日本代表 木村沙織さん:
「性格的には本当にほわっとしていて、攻撃の部分では、楽しみな選手だなって
いうイメージだった」

2度の悪夢に「これ以上は頑張り切れない」

古賀選手はデビューから存在感を示し、活躍を続けます。
しかし2016年のリオ五輪では最終メンバーから落選。20歳での挫折でした。
当時のキャプテン木村さんは古賀選手の落選を「本当に悔しかった」と振り返ります。
古賀選手自身も、その時のことを克明に覚えていました。

バレーボール記者 田中夕子さん:
「もしもパリ五輪に女子バレーが行けなかった時、自分が日本代表として声をかけてもらっていたのに辞退していたら、それが一番後悔すると思うと」

さらに、大きかったのは日本代表のキャプテンを任されたことだといいます。
眞鍋政義監督は「キャプテンは、悔しさ喜び色んなことを自分で経験しないとダメだと思ったので、だから古賀しかなかった」

キャプテンとして再び戦うことを決めた古賀選手は、背番号を慣れ親しんだ「2番」 から 「3番」に変更。同じくエースでキャプテンだった木村沙織さんの背番号でした。

しかし、期待を一身に背負う「エース」と「キャプテン」の兼任の重圧はとてつもなく、木村さんも当時、スパイクの練習をしたくても若手選手を育てることを優先せざるを得ず苦しんでいたといいます。

元日本代表 木村沙織さん:
「古賀選手もやっぱりチームの全員のことが気になっていて、私が練習の手伝いに行くと必ず来て、『今チームがこういう状況だけど、どうサポートしたらいいか、どう声をかけたらいいか』と聞いてくる」

木村さんは、自分ができなかったことを例に挙げたりしながら、できる限りのアドバイスをしているといいます。

突然の“引退”発表「パリは全てを懸けて戦う」

さらに古賀選手を支えるもう1人の存在が、夫でバレー男子日本代表の西田有志選手です。

女子バレー日本代表 古賀紗理那選手:
「味方がいるって心強いなって、シーズン通してめっちゃ感じて。最強の味方です」

強い味方を得て、夫婦でメダル獲得を目指すパリ五輪ですが、7月、古賀選手は自身のインスタグラムで、“引退”を発表しました。

『パリオリンピック2024をもちまして、現役を引退することにしました。(中略)パリオリンピックにバレーボール人生の全てを懸けて戦います』

大会後の引退の決意を、木村沙織さんは4月ごろに聞いていました。

元日本代表 木村沙織さん:
「オリンピックの予選が始まる前でしたけど、サラっと言っていました。もし五輪に行けない結果になっても『それでも辞めます!』って言っていたので、それぐらいの覚悟があるんだなと」

同じく事前に引退を知らされていたバレーボール記者の田中夕子さんは、「とにかく全力で毎日100%を過ごしているから、もう続けられないのだと思う」と話します。

バレーボール記者 田中夕子さん:
「どこかにゴールを持たないと、そこまでやりきれないんじゃないかなというのと、『ここまでは絶対にやりきる』というゴールを決めたからこそ、それだけ走り切れているのかもしれない」

小学2年生から、バレーボールをはじめて20年。
リオ、東京と、五輪では苦難が続きましたが、木村さんはパリでのリベンジを期待しています。

元日本代表 木村沙織さん:
「今回は古賀紗理那じゃなくて、西田紗理那だから。画数も変わっているし、運勢も全部変わっているから。私たちの銅メダルよりもいい色のメダルを取って帰ってきてほしいなと思っています」

【パリ五輪 女子バレーボール 予選リーグ】
▼7月28日⇒日本ーポーランド
▼8月1日⇒日本ーブラジル
▼8月3日⇒日本ーケニア

(THE TIME,2024年7月23日放送より)

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