（27日、第106回全国高校野球選手権千葉大会決勝、市船橋1―2木更津総合=延長10回タイブレーク）
八回裏2死二塁。今大会3本塁打の木更津総合・羽根徹平（3年）を警戒して、内野手がマウンドへ集まった。
帽子の裏を見せ合う。市船橋の工藤将祐（3年）が、信頼する仲間それぞれに向けたメッセージが書かれていた。
工藤は羽根を申告敬遠とし、次打者の4番井上陸（3年）との勝負を選んだ。そして、中央学院戦で3点本塁打を放った井上を得意のスプリットで三振に。いい流れをつくった。
みんなで勝つ――。
秋も春も千葉経大付に敗れ、「このままじゃだめだ」とチーム全体の意識が変わった。夏のメンバーに入れなかった3年生は長時間練習に付き合ってくれた。決勝の前には「自分の野球をしてこい」と励ましてくれた。そのおかげでリラックスして試合に臨むことができた。みんなに託された思い。「絶対に勝ってやる」と心に決めた。
5回戦で専大松戸に勝って一気にチームが一つになった。守備から流れを作る自分たちの野球ができている。「きっとアウトを取ってくれる」と仲間を信じ投げ続けた。
思いは届かなかった。「正直ここまで来られるとは思っていなかった。でもとにかく悔しい。みんなに申し訳ない」
将来はプロの世界をめざす。この悔しさを忘れず、成長の糧にして夢を実現することが、みんなへの恩返しだと思っている。=ZOZO（芹沢みなほ）
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