智弁和歌山前監督 高嶋仁の目

 (29日、第106回全国高校野球選手権和歌山大会決勝 智弁和歌山―近大新宮)

 準決勝までの4試合をすべて無失点のコールドで勝ち上がり勢いに乗る智弁和歌山と、4試合中3試合で3点差以内の接戦を制するなど粘り強い戦いをみせている近大新宮。ともに力がある複数の投手を擁する両校が決勝に進みました。

 智弁和歌山は初戦の笠田戦を2本の本塁打などで圧倒し、日高との準々決勝では参考記録ながら毎回安打、毎回得点で五回コールド勝ち。昨年の秋季大会で逆転の満塁本塁打を浴びて敗れた田辺との準決勝では、上田潤一郎選手(3年)の満塁本塁打などで昨秋の雪辱を果たしました。

 また1年生の松本虎太郎選手が初戦に本塁打を放つなど活躍を続けています。下級生が打つと上級生も負けていられません。チームも活気づきます。投手陣もエース渡辺颯人投手(2年)を中心に今大会、計5人が登板し、それぞれの持ち味を発揮しました。

 近大新宮は初戦の箕島戦で八回逆転勝ちを収めると、準々決勝の耐久戦、準決勝の和歌山東戦ではそれぞれ3得点ながら、準決勝までの4試合すべてで西田悠朔投手(3年)が先発し、しっかりと試合を作りました。その後を田中楓投手(3年)がつなぎ、威力のある球を投げる響与一投手(3年)や小田島一晃投手(3年)で締めるという盤石な投手リレーを確立しています。

 打線も3番の和嶋健人選手(3年)が三塁打2本を含む9安打と活躍。下位打線にも当たりがでています。

 投手陣も充実していて、打線にも勢いがでている両校の対戦は、どちらが先に得点するかが勝敗の分かれ目になるように思います。智弁和歌山打線を2、3点に抑えることができれば近大新宮に勝機がでてきます。智弁和歌山は強引に引っ張らずセンター中心の打球を心がけなければ、なかなか打ち崩せないでしょう。近大新宮は足を使ってヒットエンドランなどをうまく使うことが重要です。いずれにしても好試合が期待できます。(智弁和歌山・前監督)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。