(29日、第106回全国高校野球選手権東東京大会決勝 関東第一8―5帝京)

 だめか……。でも、よくやった。

 帝京は富浜の3点本塁打で逆転した直後に同点にされた。それから突き放された。西東京大会決勝の日大三―早稲田実の試合のように、同点の後にどちらが点をとるか。この日の決勝では、関東第一でした。

 五回、帝京は2失策や捕逸など守備の乱れも重なっての4失点。帝京の「一発」を考えれば、ランナーをためて返せない点数ではないですが、選手たちは慌てているように見えました。こういう時こそ冷静に戦わないといけない。

 「らしくない」プレーが出てしまうのも、決勝という舞台。こうなってしまっては、選手が自分たちで立ち直らないといけない。僕が監督だったら、投手を交代して、ここで一呼吸を置いたと思います。エースの小野が投げているからこそ、慌てているように見えました。

 関東第一は相対的に見ればうまさがありました。足を絡め、バントをして、こつこつ点をとって相手にプレッシャーをかけることができていました。帝京は打のチーム。一発を秘めた力はありますが、関東第一のそつのない野球が、勝敗につながったのではないでしょうか。

 2番手の坂井は思いきりいい投球が魅力です。気持ちの強さもあり、リリーフにはもってこいのタイプ。先発した左の畠中との継投もはまったと思います。

 春夏連続の甲子園出場を決めた関東第一は、自分たちの勝ち方をわかっているのも強みです。春の選抜は初戦で負けましたが、「甲子園の忘れ物を取りに行く」という執念を感じました。

 春より体も大きくなり、技術的にも光るものが出てきた。甲子園で簡単には負けない強いチームになったと思います。畠中、坂井の二枚看板もいい状態できている。足を絡めたつなぐ野球は、相手にとっても手ごわいと思います。

 帝京は冬に頑張って低反発の新基準バットでも振れる体力をつけた。彼らの努力、頑張りには感銘を受けました。打のチームを作り上げ、目標をもってうまく導いた金田監督が頑張ったからこそ、ここまでこられた。

 負けましたが、この経験を生かしてやればどんどん強い帝京ができると思う。決勝でこれだけのお客さんが入ったのも、期待しているからこそ。今後も楽しみにしたいです。(帝京・前監督)

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