(29日、第106回全国高校野球選手権徳島大会 阿南光5―6鳴門渦潮)

 2点リードで迎えた延長十回裏。今春の選抜大会8強の原動力となった阿南光のエース右腕、吉岡暖(はる)投手(3年)は、徳島市で今年最高の気温37.7度を記録するなか、マウンドで懸命に腕を振り続けた。

 タイブレーク走者を抱え、犠打を決められて1死二、三塁。次打者に中前二塁打を浴びて2点を失い、同点に追いつかれた。

 3人目は、準決勝で本塁打も放った強打者の森高祐吏選手(3年)。この試合138球目のカットボールを左前に返され、サヨナラ負け。

 春夏連続の甲子園出場にあと一歩届かなかった。

 選抜では140キロ台の直球に多彩な変化球を駆使し、全国の強豪を次々に破る快進撃を見せた。「この夏、もう1回甲子園へ」と筋力トレーニングに励み、春から体重を3キロ増やして88キロとし、今大会4試合を1人で投げ抜いた。

 「野球のまち」を掲げる地元・阿南市を夏の甲子園で全国にとどろかせる願いはかなわなかった。

 「一から鍛え直したい。これからどうなるか分からないけど、プロ野球で活躍して阿南を有名にできたら」

 その夢はまだ続く。(吉田博行)

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