(29日、第106回全国高校野球選手権長崎大会決勝 創成館4―0清峰)

 創成館の小副川朋也捕手(3年)は五回裏、清峰攻撃の場面で、タイムを2回とって、マウンドに向かった。

 最初は、村田昊徽(ごうき)投手(3年)が1ストライクから4球続けてボールを投げて四球となったとき。創成館は1点リードしており、清峰を2死に追い込んだ状況だったが、小副川捕手は「相手に流れが行きやすい場面だ」と判断したという。

 清峰はチーム内の連係がうまい。いったん流れを切ろうと思った。「時間を空ければ、村田にも余裕が生まれるだろう」と考えた。

 その後、仲間の失策で二、三塁となった場面でも、マウンドに内野手を全員集めた。時間を取ることでみんなが落ち着く。「しっかり守ろう」と声をかけ、マウンドで円陣を組んだ。

 狙い通り、次の打者を一塁ゴロに打ち取った。六回表には、創成館は1点を追加し、清峰を突き放した。

 控えの捕手がいるなか、決勝で小副川捕手を起用した理由について、稙田龍生監督は「清峰の南和紀投手から得点を奪うのは難しい。ロースコア勝負になる。守りを重視するなら小副川だった」と語る。この日の試合運びについても、「配球が良かった。相手の弱点を突いて、緩急をうまく使った」と評価した。

 小副川捕手の細かい気配りは、稙田監督が仕込んだ。春の新チームの発足直後から、試合のたびに「打たれたのはあの球が原因」などと細かく指導。小副川捕手は注意点をノートに書きとめた。

 「できることを徹底してやったのが今日につながった」と小副川捕手。甲子園に向けては、「一戦一戦大切に戦う。思い切って相手にぶつかっていきたい」と決意を語った。(天野光一)

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