(30日、第106回全国高校野球選手権愛媛大会決勝 西条6―7聖カタリナ)
聖カタリナのエース右腕、有馬恵叶(けいと)投手(3年)はマウンドで、グラブを外して左手を腰に当て、焦る気持ちを落ち着かせようとしていた。
投球数が100球を超えた八回表、打者6人に4連打を含む5安打を浴び、2点差に詰め寄られた。
「握力が落ち、フォークの落ちが悪くなった」。なお1死一、二塁で、相手の4番を迎えた。
ここで、選手のけがの治療のため試合が約5分間中断した。ベンチに戻っていた間、「しっかり切り替えてリラックスした」。
試合再開後、4番を右飛、続く打者を140キロの速球で三振に切って、ピンチを脱した。
今春まではチームで3番手以下の投手だった。昨秋と今春の県大会は一球も投げていない。昨秋はベンチ外で、春は背番号18だった。
「結果が悪くても想定内。今はつくってる階段の途中だなと」
昨冬からトレーナーと一緒に、今夏にピークを持ってくる計画で鍛錬を積んできた。
190センチの長身を生かすため、体幹を集中的に鍛えた。走り込みや投げ込みにも励んだ。「他の投手の5倍は練習する」と浮田宏行監督。自分を信じてやり続けた。
最速143キロの速球とフォークを武器に、背番号1を背負った今大会。第2シード今治西との2回戦で先発した。これが高校に入って初の公式戦登板だったが、9回1失点の快投でサヨナラ勝ちを呼び込んだ。
3ボールからでも、走者が三塁にいても、恐れずにフォークを投げることに自負を持つ。甲子園では「低めの真っすぐと鋭く落ちるフォーク」で勝負を挑む。
球速が130キロだったころから、夢はプロ野球選手だ。(中川壮)
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