バスケットボール女子の日本代表。
銀メダルを獲得した前回の東京オリンピックで世界に衝撃を与えてから3年、「金メダル獲得」という大きな目標を掲げたチームは、予選リーグの3試合で全敗。
進化する世界のバスケットボールについていけていない現実を突きつけられました。

変えなかった コンセプト

高さのない日本が平面のスピードとスリーポイントシュートを駆使して銀メダルを獲得した東京大会のあと、日本はチームを率いたトム・ホーバス ヘッドコーチから恩塚亨ヘッドコーチに指揮官が替わり、新たなスタートを切りました。

しかし世界から戦術を研究される立場になり、2022年のワールドカップでは1勝しか挙げられずにグループリーグで敗退するなど苦戦が続いてきました。

身長の高さやフィジカルの強さで日本の強みのスピードやスリーポイントを封じようという海外勢に対し、日本はポイントガードを2人にして対抗してきました。

ただ、身長の高くない選手が2人同時にコートに立つことで高さでの不利が目立ち、身長差を突かれて失点する場面が増えていきました。

それでも東京大会のバスケをさらに進化させた「走り勝つシューター軍団」というコンセプトに掲げるチームは、その方向性を変えることはありませんでした。

打ち砕かれた 自信

迎えたオリンピック本番。

「世界の高さ」に「スピード」「スリーポイント」で対抗するという日本の自信は、打ち砕かれました。

平均身長およそ1メートル74センチの日本。出場した12チーム中で最も低く、予選リーグ初戦の相手アメリカとは10センチ以上の差がありました。

東京大会の決勝で敗れた強豪に対し「フィジカルの強いプレーに対しても日本の強みを出し切る」と、序盤は激しいプレッシャーディフェンスからスリーポイントを決めるなど、目指してきた形を見せる時間はありました。

しかし相手に高い位置でボールを回されるようになると簡単にゴール下に持ち込まれ、失点を重ねました。

日本の27の2倍以上に上る56個のリバウンドを奪われ、26点差をつけられる完敗でした。

その後は得点源の山本麻衣選手が脳しんとうのため欠場を余儀なくされるなど悪い流れは止まらず、世界ランキングでは日本より下のドイツにも11点差で敗れました。

予選リーグ第3戦のベルギー戦も相手の身長1メートル93センチのエースに徹底的にゴール下を攻められて30得点を許した一方、日本のオフェンスは頼みのスリーポイントの成功率も24%と低調で、シュートが決まらなかった時の戦術のもろさを露呈しました。

キャプテン 林咲希選手
「日本が東京大会のときにやっていた、速いバスケットボールを止めに来た印象はこの3試合を通してすごくあった。高さやシュート力も上がっていて、世界がすごくレベルアップしてると感じた」

高田真希選手
「日本の弱点はやはりフィジカルやゴール下にあり、そこを攻めてきた相手に対応しきれなかった」

恩塚亨ヘッドコーチ
「選手たちは目指してやってきたことを全身全霊をかけて頑張ってくれたが、私自身が導くことができなかった。選手の力を引き出しきれなかったことが一番大きな敗因で責任を感じている」

継承にとらわれた3年間

東京大会で銀メダルを獲得し、その継承にとらわれた3年間で、日本は世界のバスケットボールから大きく水を開けられました。

今大会の日本のメンバーは12人中9人が東京大会と同じメンバーで、平均年齢は28.8歳。

世代交代は進まず、4年に1度のオリンピックの舞台を新たに経験する若手の抜てきもありませんでした。

バスケットボールの本場、アメリカで行われる次のオリンピックに向けて、立て直すことはできるのか。

女子の日本代表は、大きな課題を突きつけられました。

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