「言わなくても分かる」コミュニケーション 快挙引き寄せる

セーリングで混合470級の岡田奎樹選手と吉岡美帆選手のペアは前回の東京オリンピックのあとペアを組むことを決めました。

パリ大会から混合種目となった470級でメダル獲得を目指すため、吉岡選手が「次にオリンピックに出るならメダルを取りたい。そうなると組むのは岡田選手しかない」と連絡したということです。

その岡田選手も「金メダルを狙うなら吉岡選手」と考えており、話し合いをした神奈川県鎌倉市のカフェですぐにペア結成が決まりました。

風を読むことを得意とするスキッパーの岡田選手と、身体能力の高さで帆を操るクルーの吉岡選手。日本男女のトップ選手どうしが手を組むと、すぐに国際大会で実績を重ねていきました。

特に去年は、4月に行われた伝統の国際大会「プリンセス・ソフィア杯」で優勝を果たすと、8月の世界選手権では金メダルを獲得し、「コンスタントに勝ち続けられるし、目標とする順位を狙いどおりに取ることができる」と岡田選手が話すとおりに、自信を深めていきました。

2人の強さの秘密はコミュニケーションにあります。セーリングでは、十数メートル先の風のコンディションを読んで、お互いが息を合わせてヨットの操縦やコース取りを行わなければなりません。そこで「コミュニケーションの量を減らして、意思を伝える」ことを磨き続けてきたといいます。

岡田選手は「風の予測を1つ1つ説明していたら、レース中に集団に埋もれて不利な状況になり、取りたいコースを取れなくなってくる。時間がもったいないので、可能な限り短い言葉でお互いの意思表示をできるようにしてきた」と説明します。

最終的には、『風が来るよ』とだけ言ってどんな風に操縦すればいいかお互いに理解する、『あれ』や『それ』という言葉だけで状況を理解できる段階まで突き詰めてきたということです。

ペアを組んでから2年あまり。「言わなくても分かる」まで研ぎ澄ませてきたコミュニケーションとお互いへの信頼関係が快挙を引き寄せました。

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