横っ跳びの好捕や2度の併殺など、初戦の岐阜城北戦ではファインプレーでチームを救った智弁学園の遊撃手・西川煌太(3年)。そのトレードマークが真っ平らにした帽子のツバだ。おしゃれ心などではない。そこには守備がうまくなりたいという思いが凝縮されていた。

 始まりは中学2年の春、所属していた硬式の五條リトルシニアで練習試合をしていた時だ。

 ふと、帽子のつばが原因で視界が狭くなっているのではと思った。ベンチに戻って、ツバが最も丸まっている仲間の帽子を借りてみたら、案の定、視界が狭く感じた。

 「じゃあ、試しに逆側に曲げてみよう」。そう思い、ツバを平らに曲げてみた。すると上半分の視界が少し広がったように見えた。「ちょっと顔を上げただけで、フライやライナーが見やすくなったんです」

 智弁学園に入学してからも、そのスタイルを貫いた。「何でそんなにツバがまっすぐなん?」と何人にも聞かれてきたが、その都度「見やすいからです」と答えてきた。チームでまねする人は現れなかった。

 ツバを真っ平らにしても帽子は深くかぶれるそうで「そんなに緩くない」と話す。初戦の十一回裏は1死二、三塁のピンチだったが、最後のライナーを好捕し、併殺にしとめて激戦に終止符を打った。「ツバのおかげもあったと思います」

 14日の健大高崎戦でも「捕れる範囲を全部アウトにしたい」。もちろん帽子の手入れは万全にして臨むつもりだ。(佐藤道隆)

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