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 レスリング男子・最軽量級で金メダルに輝いた樋口黎選手(28)。表彰式の直後、これまで一番近くで支えてくれた妻・優貴さんに金メダルをかけるシーンは日本のファンの感動を呼びました。

■金メダルはムーミンのぬいぐるみに!?

 レスリング男子フリースタイル57キロ級で金メダルに輝いた、樋口選手。興奮冷めやらぬ会場で見る者の胸を打ったのは、インタビューの際の樋口選手の行動でした。 樋口選手
「自分の今までの人生で一番レベルの高いパフォーマンスを出せた。いい大会だったと感じます。僕の奥さんです」

 客席にいた妻・優貴さんの姿を見つけると、思わず首からメダルを外してインタビューを中断。近づいてきた優貴さんに金メダルをかけてあげると、ともに向かい合って丁寧にお辞儀。優貴さんの目には涙があふれていました。多くの人の感動を呼んだこの場面。

 この時、樋口選手と優貴さんは向かい合いながら言葉を交わしていましたが、一体、どんなやりとりがあったのでしょうか。

樋口選手
「こんにちは、よろしくお願いします」
「樋口です。よろしくお願いいます」  16日、帰国して間もない樋口選手の自宅を伺うと、なんと金メダルはソファに置かれたムーミンのぬいぐるみにかけてありました。 樋口選手
「ムーミンが一番好きなキャラクターだったので、メダルをかけようと一番ビッグなサイズ買いました。オリンピックの前に購入してこれにかけようと」
「(Q.決意されていた?)はい。8月9日、ムーミンの誕生日の日がちょうど試合(決勝戦)の日だったので、これは勝ったなと思いながら」  いきなりお茶目な一面をのぞかせた樋口選手。妻・優貴さんも元レスリング選手で、高校時代に初めて出会い、去年結婚。今年2月に長女の凪ちゃんを授かりました。

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■「妻にかけてあげたい」 涙こみ上げ…

■「妻にかけてあげたい」 涙こみ上げ…

 そんな樋口選手と優貴さんに、やはり最初に聞いてみたいのは…。

住田紗里アナウンサー
「すごく印象的だったのは、奥様に金メダルをかけたシーン。すぐ、奥さまに気が付いた?」 樋口選手
「そうです(笑)」 優貴さん
「いや、違います。全然気づいてくれなくて、インタビューしている目の前まで行って、飛び跳ねたんです」

 当時の映像をみると、優貴さんが近づいても気づいてもらえず、席に戻る様子が映っていました。

樋口選手
「結構、観客席を見渡した時に、日本の国旗を持っている人がちょこちょこいたので。試合終わって死にかけの状態になりながら『どれだ、どれだ』と思いながら探しました」
「(Q.飛び跳ねてくれた時は?)『いる!』と思った」

 金メダルをかけてあげる場面では…。

住田アナ
「いつから奥様にかけようと?」 樋口選手
「大会前から決めていたので。一番最初は一番支えてくれた家族に、妻にかけてあげたいなという思いがありました」 優貴さん
「かけてもらえると思ってなかったので、いろいろびっくりした感じです」 樋口選手
「(Q.事前に決めていたのに話していなかった?)話してないです」 優貴さん
「全然、言わないのでそういうことは。自分で勝手に決めてやっているだけで、あまり周りには言わない」 樋口選手
「一番最初に『ありがとうございます』と感謝を伝えられたのは良かったですね。僕の方はメダルをかけて感謝の気持ちでお辞儀していました」 優貴さん
「私は『おめでとうございます』とお返しのお辞儀みたいに。お辞儀されたらお辞儀し返していました」 樋口選手
「お互いペコッて」

 優貴さんの目に涙がこみ上げてきたのも、一番近くで支えてきたからだといいます。

優貴さん
「ずっとそれにかけやってきている姿は、あまり家には持ち込まないにしろ、見てきていたので。そういう姿を見ると勝手に涙が出た。本人の方が淡々とクールになっていたので、ちょっと恥ずかしいなと」

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■試合ギリギリまで減量 屋外ランニングに

■試合ギリギリまで減量 屋外ランニングに

 8年前、20歳で出場したリオジャデネイロオリンピックでは銀メダルを獲得。しかし、続く東京オリンピックでは代表がかかったアジア予選で、わずか50グラム体重をオーバーして失格に。2度目のオリンピック出場への切符を逃しました。 樋口選手
「東京五輪の失敗を受けて勉強をすごくするようになって。東京五輪で失敗してなければ勉強してないです。その失敗があったからこその金メダルだと思うので、あの失敗があってもちろん良かったなと思う。人間が何か変わるきっかけがないとダメなんだなと」  樋口選手が見直したのは、日ごろからの体重管理と減量方法。食事について独学で勉強し、低脂肪・低糖質の献立を自ら作って実践しました。 樋口選手
「(Q.料理メニューも自身で考える?)そうですね。だいたい自分でご飯を。自炊も好きな方なので作って、余った鶏皮・油・余分なカロリーを妻が食べていくという。僕のカロリーが減れば妻のカロリーが相対的に増えていく。僕すごく偏食なので、自分が食べたいものを作って食べるが一番だと気づいた。栄養士やプロアスリートのご飯はがっつり副菜やサラダがある。あれが出てくると、精神的余裕がなくなってくるので」  普段の体重は65キロほど。2カ月をかけて減量を行いますが、8キロを落とすのは至難の業です。今回のオリンピック期間中もギリギリまで減量と戦っていました。準決勝終了後には・・。 樋口選手
「(Q.樋口選手、今よろしいでしょうか?)体重落としてから、お願いします」

 決勝戦前に、再び計量があるため全取材を断り屋外にランニングに出るほどのギリギリの減量。それでも普段から苦しい顔はほとんど見せないといいます。

優貴さん
「本当に顔にも出さないですし、ちょっと前まで減量がきついのかもわからず、すごく話しかけてたら、実はすごくしんどくて『しゃべるのもきついのにすごく話しかけられた』と」 樋口選手
「ずっとしゃべってくるんですよ」 優貴さん
「ドラマが大好きでずっと見てるんですけど、それの話をとうとうとしてたら、試合が終わった後に『実は3日前くらいからすごくしんどかった』あとから言われたりとかするくらい」 樋口選手
「試合前なのに『キムタクがー』とか」 優貴さん
「私はそれくらい日常を送っている」

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■願掛けで金髪に「似合ってるな」

■願掛けで金髪に「似合ってるな」

 妻に心配をかけないよう、1人で減量と闘いながら目指した金メダルへの道。一方、優貴さんも夫の夢がかなうよう、密かにある願掛けを行っていました。

優貴さん
「(Q.髪の色は願掛け?)そうです。金メダルをとれるように」 樋口選手
「ありがとうごでいます」 優貴さん
「美容師さんには『銅メダルにならないようにお願いします』と。『ちゃんと金色に見えるようにお願いします』と言って、色落ちして銅っぽくなると困るので、そこだけはすごくお願いしました」 樋口選手
「(Q.事前に知っていた?)知らなくて、日本を出るまで黒髪だったはずなのに、合宿終えて試合(決勝戦)終えてぱって見たら金髪になってて。ゴールドに願掛けして金髪にしたという噂は聞いていたんですけど、思った以上にキンキンだったので、効果あったなあと」
「(Q.見た時、どう思った?)似合ってるなと思った。黒髪よりこっちの方がいいんじゃないと思いながら、また次の試合の時は金髪にしてもらおうと」 優貴さん
「髪の毛が持たないですね、だいぶガシガシきているので」  互いに思い、支えあい、夫婦2人でつかんだ悲願の金メダル。激闘を終えた選手たちを出迎え拍手と歓声に包まれた成田空港。人垣の中には、優貴さんと娘の凪ちゃんの姿もありました。  16日、ようやく落ち着きを取り戻し家族団らんを楽しんだ樋口選手。大好きなギョーザを食べるのは半年ぶりだそうです。 優貴さん
「(Q.樋口選手はどんな人・どんな夫ですか?)自分の好きなことに一直線に真面目に取り組んでいる人。折れない、ブレない。芯がすごく通っている人。絶対に周りの影響でブレることがない」 樋口選手
「だいぶよく言ってくれてます(笑)。悪く言えば自己中で偏屈。いい感じに言ってくれたのでありがたいです」

(「グッド!モーニング」2024年8月17日放送分より)

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