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夏の甲子園は連日、手に汗握る熱戦が繰り広げられています。おなじみの古田敦也さんが、17日に行われたベスト8進出を懸けた3回戦・最後の4試合を解説します。

■智弁学園・田近 2試合連続2桁奪三振

第1試合、智弁学園(奈良)が大阪桐蔭を倒した小松大谷(石川)と対戦しました。

1点を追いかける3回裏、ランナー二塁の場面で、3番・山崎光留選手(3年)がレフトの頭上を越えるタイムリースリーベースを放ち、同点とします。

4回裏に2点を勝ち越すと、5回裏には5番・近藤大輝選手(2年)にもライトへのタイムリースリーベースが飛び出すなど、4点リードを奪います。

投げてはエース田近楓雅投手(3年)が、武器であるチェンジアップを駆使し、2試合連続で二桁奪三振を記録。エースの好投により、智弁学園は準々決勝進出を果たしました。

■京都国際・中崎14奪三振 武器はスライダー

第2試合は京都国際と、日本ハム・新庄剛志監督の母校である西日本短大付属(福岡)の一戦。

2回表、先制した京都国際は、なおもチャンスで8番・長谷川颯選手(2年)がセンターへのタイムリーヒットを放ち、2点を先制します。

さらに二死一二塁の場面で、1番・金本祐伍選手(3年)が一二塁間をしぶとく破るヒットを放ちます。しかし、セカンドランナーの長谷川選手が三塁を回るも、西日本短大付属ライト斉藤大将選手(2年)からの好送球でホームタッチアウト。

古田さん
「(Q.京都国際の先発は、U-18日本代表候補・中崎琉生投手(3年)でした)ストレートも良いですが、やはりスライダーです。フォークも良いのですが、切れ切れのスライダーで三振を奪っていきます。14奪三振中、7個がスライダーで、非常に安定感のある良いピッチャーだと思います」

中崎投手は143球を投げ、完封勝利。チームを準々決勝進出へ導きました。

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■ 繋ぐ神村 今大会無失点の岡山学芸館破る

■ 繋ぐ神村 今大会無失点の岡山学芸館破る

第3試合、昨年ベスト4の神村学園(鹿児島)は1回表、岡山学芸館の先発・沖田幸大投手(3年)から一死二塁のチャンスを作ります。ここで、3番・今岡拓夢選手(2年)がタイムリーを放ち、今大会無失点の岡山学芸館から先制します。

その後も神村学園打線は止まりません。5回までに7得点を挙げます。この試合で記録した12本のヒットはすべてシングルヒットで、繋がる打線を見せました。

今大会初先発の神村学園・早瀬朔投手(2年)は、力強いストレートと変化球を駆使し、130球1失点の完投勝利。神村学園は2年連続のベスト8進出を果たしました。

■吹き荒れる“大社旋風” 大熱戦の結末は

第4試合、早稲田実業(西東京)と大社(島根)の一戦は、大熱戦となりました。

1点を追いかける大社は、9回裏の無死一塁三塁の場面で、9番・高橋翔和選手(3年)がスクイズを決め、土壇場で同点に追いつきます。

さらに、1番・藤原佑選手(3年)がきっちりと送りバントを決め、一死二塁三塁とします。

ここで、早稲田実業の和泉実監督が動きました。レフトの守備に入ったのは西村悟志選手(1年)。

古田さん
「一死二塁三塁、1点取られればサヨナラ負けという場面です。ここで内野手に5人が入るシフトを敷きます。レフトの西村選手が内野に入り、スクイズを警戒しました。5人内野のシフトはなかなか見られません」

ここまで3安打、大社の2番・藤江龍之介選手の打球は内野に入るレフト・西村選手のもとに。これをさばき、記録はレフトゴロ。見事、内野5人シフトが功を奏し早稲田実業はピンチを乗り切ります。

古田さん
「難しいプレーでしたが、結果はダブルプレーとなり、ピンチをしのぎました。まさに会心のプレーだったと思います。試合は延長戦となり、球場は大盛り上がりでした」

試合は延長タイブレークへ突入し、両チーム譲らず、11回裏に大社の攻撃を迎えます。代打・安松大希選手(2年)が三塁線へ絶妙なバントを決め、これで無死満塁となります。

紫色に染まるアルプススタンドが後押しするのは、延長11回まで149球を投げ抜いてきた7番・馬庭優太投手(3年)。センターへのタイムリーヒットを放ち、サヨナラ勝ち。93年ぶりに準々決勝進出を果たした大社旋風はまだ続きます。

馬庭投手
「やっぱり最後、自分の打席に回った時は打つしかないという気持ちで入りました。今まで打ったヒットの中で一番気持ち良くて、野球って最高だなと思いました」

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■ベスト8出揃う 準々決勝は19日開催

■ベスト8出揃う 準々決勝は19日開催

古田さん
「延長11回裏、もちろんサヨナラタイムリーはすごかったんですが、その前の場面ですよね。この大事な場面で、代打で決めた安松選手がすごかったです」

「(Q.プレッシャーの中で、代打の安松選手は地方大会を含めて、これが初打席でした)試合前、石飛文太監督が選手たちを集めて、『ここでバントを決められる自信があるもの、手を挙げろ』と言ったところ、安松選手が『サード側に決めてきます』と手を挙げたらしいです。監督は「お前に任せた」と言って送り出したんですね。大事な場面で、安松選手は見事にファウルラインを切れそうで切れないバントを決めました。まさに神がかっていました」 古田さん
「(Q.これでベスト8が出揃いました。準々決勝は19日に行われます。第1試合は関東対決となる関東第一対東海大相模です)東海大相模は強いと思います。エース藤田琉生投手(3年)は身長198センチで、ダイナミックな投球、変化球も良いです。防御率も0.00、今大会でまだ1点も取られていません。このピッチャーを関東第一が打てるかどうか」

「(Q.第2試合は、3試合連続2桁安打を記録している強力打線の滋賀学園。対するは青森山田です)低反発バットになってから、長打が出ていませんが、この両チームはしっかり打っています。青森山田の佐藤洸史郎選手もホームランを打っていますし、打ち合いになる可能性もあります。原田純希選手(3年)は身長170センチ・体重97キロ、太ももはなんと74センチもあり、すごいパワーです。どんな試合になるか分かりませんが、非常に楽しみです」

(8月18日放送「サンデーLIVE!!」より)

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