《見どころ》己の体のみが武器 “パラ競泳”とは
日本選手の顔ぶれは
世界記録保持者の山口 記録更新で2連覇なるか
ワンツーフィニッシュ再来なるか
ベテランから若手までメダルに挑む
パラ競技で2番目に多い141種目 金メダルの行方は
山口選手は去年の世界選手権で大会新記録で3連覇を果たし、パリ大会の日本代表選手に、全競技を通じて初めて内定となりました。1メートル87センチの身長と、30センチの大きさがある足を生かしたダイナミックな泳ぎが持ち味で、前回の東京大会では男子100メートル平泳ぎ、知的障害のクラスの決勝で世界記録をマークして金メダルを獲得しました。その後も、去年3月にはみずからの世界記録を0秒99更新する1分2秒75をマークしました。イギリスで武者修行をしたり、同じ平泳ぎのパリオリンピック代表の鈴木聡美さんと合同練習したりして、みずからの泳ぎを探求し続けていて、今大会では、東京大会からの進化に加えて、大舞台で再び世界記録の更新がなるか、そして、2連覇がなるかが注目されます。
東京大会の男子100メートルバタフライ、視覚障害のクラスでは、木村選手が金メダル、富田選手が銀メダルで「ワンツーフィニッシュ」を実現させました。それから3年間、ダイナミックな泳ぎが持ち味だった木村選手は、オリンピックで2大会連続の銅メダルを獲得した星奈津美さんの指導のもと、一からフォームを見直して新たな泳ぎを模索してきました。「いい泳ぎで、いい結果を」と意気込むパリ大会では2連覇に挑みます。
一方の富田選手は初出場だった東京大会以降、スペインでの武者修行や国内での泳ぎ込みなどハードなトレーニングを重ねてきました。今大会では得意の400メートル自由形に加えて、100メートルバタフライにも手応えを感じています。最大のライバルとなるのが去年の世界選手権で、木村選手と富田選手を破り、世界新記録で金メダルを獲得したウクライナのダニーロ・チュファロウ選手です。東京大会までは別のクラスでしたが、その後、症状が進行して、木村選手たちと同じクラスとなりました。母国がロシアによる侵攻を受ける中で去年「私の国では今、戦争が起こっている。このメダルが国を支えてくれることを願っている」と平和への思いを口にしていました。
6大会連続出場でチーム最年長の37歳、鈴木選手は、前回大会での金メダルを含めて過去5大会で10個のメダルを獲得しています。「出場するからにはすべてでメダルをねらう」と意気込む「パラ競泳界のレジェンド」が、今大会でメダルの数をどの程度増やせるのかも注目です。また女子では初出場だった東京大会以降、急成長を遂げている視覚障害のクラスの36歳、石浦選手にも注目です。得意の50メートル自由形では、ことし5月に前回の東京大会の銀メダルに相当する29秒70の日本新記録をマークしていて今大会で初めてのメダル獲得が期待されます。若手の活躍にも目が離せません。いずれも初出場で知的障害のクラスの木下選手は、去年の世界選手権の200メートル個人メドレーで銀メダルを獲得しましたが「パリでは1番いい色のメダルを」と意気込んでいます。そして運動機能障害のクラスの400メートル自由形、15歳の川渕選手は日本選手団で最年少です。
パラ競泳ではすべての競技を通じて陸上の次に多い141種目が行われます。そこで日本代表が掲げるスローガンが「熱狂」。原則、無観客となった東京大会では感じることができなかった声援を背に選手たちがどのように「熱狂」を生み出していくのか、これまで以上に期待が高まる大会となります。
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