アメリカンフットボールの20歳以下の日本代表は、ことし6月から7月にかけてカナダで行われた世界選手権で過去最高となる準優勝の成績を収めました。

日本アメリカンフットボール協会によりますと、代表活動の期間中に関西学院大学から選ばれた選手1人が大麻の成分を含んでいるとみられるものを所持、使用したことがわかったということです。

このため協会は8月30日付けで、この選手の日本代表に選抜される資格を無期限で停止したうえで、協会が管轄する大会などでの活動についても無期限で停止するよう大学側に勧告しました。

また、関西学院大学から選ばれたほかの4人の選手についても重大な規律違反があったとして、1人を2年間の選抜資格の停止、3人を1年間の選抜資格の停止とし、4人のうち1人については6か月間、対外試合出場停止とするよう大学側に勧告しました。

あわせて、今回の代表活動で現場責任者を務めた、協会の強化育成担当の森清之常務理事を厳重注意処分としました。

一方で協会は、問題発覚の経緯や規律違反の内容について明らかにしていません。

関西学院大学は去年、大学日本一を決める「甲子園ボウル」で史上初となる6連覇を果たし、通算でも最多となる34回の優勝を誇る強豪です。

大学のアメリカンフットボール部をめぐっては、同じく強豪で知られた日本大学が部員や卒業生が立件された一連の薬物事件で廃部となっています。

関西学院大学 会見で部長ら陳謝し処分選手について説明

関西学院大学は、8月30日午後4時から会見を開き、アメリカンフットボール部の池埜聡部長は冒頭、「本学から選出された選手5人が大会期間中の行動に基づいて処分が下されたことを、部として大変重く受け止めています。指導が至らなかったことを痛感しています。アメリカンフットボールに関わるすべての方々に深くおわび申し上げます。本当に申し訳ございませんでした」と述べ、会見に出席した大村和輝監督とともに陳謝しました。

選手1人が日本代表の選抜資格を無期限で停止される処分を受けたことについては、「日本アメリカンフットボール協会が、代表として活動する選手に対して順守を求められる『倫理懲罰規定』の条項などに基づいて処分を課した可能性がある」としたうえで、「この選手を、部としても無期限で活動を停止とする処分をしたが、協会が求める毛髪検査を受けなかったことが理由で、大麻の所持・使用の事実認定によるものではない。部として実施した任意の尿検査では陰性だった」などと説明しました。

この選手は、毛髪検査を受けなかった理由について、
▽20歳以下の日本代表の選手などから、大麻を吸っていると決めつけるような言動があったこと
▽遠征中に、他の選手に自分の部屋に大麻があるという証拠もないうわさを立てられ、自分の荷物を無断で調べられたことや
▽協会による関西学院大の代表選手以外の部員に対するヒアリングで、威圧的な態度で面接が行われたこと
などを挙げているということです。

今後、この選手の処分撤回を求めるかどうかについて、関西学院大学のアメリカンフットボール部の小野宏ディレクターは「本人が処分に対して、どういうふうに考えているかや、協会が認定している事実を聞かないと、われわれとしても判断できない。可能性はゼロではないが、わからない」と話しました。

8月に合宿参加の部員166人に尿検査 全員が陰性

関西学院大学アメリカンフットボール部によりますと、これまでも部員に対し、違法薬物についての危険性を講習会などで説明していて、今回の問題を受けて、改めて部内に大麻などの所持・使用がないか確認をしたということです。

8月に部の合宿に参加した部員、合わせて168人のうち、体調不良の女子部員2人を除く166人に対して、同意を得たうえで、任意で尿検査をしたということです。

その結果、検査をした166人全員が陰性だったということです。

アメリカンフットボール部では、今回の問題を踏まえて、指導者や部員ともに違法薬物への認識を一層深める機会を設け、継続的に実施することや、疑いをかけられるような紛らわしい行為・言動自体も避けるように、強く警鐘を鳴らしていく考えを明らかにしました。

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